難民キャンプの医療体制とIRC
さて、マラリアの話をしたところで、ここで難民医療について。
キャンプ内で医療を担当しているのは
IRC(international rescue committee)というNGO団体です。
主要な医療ケア及び、病気の予防・治療に関するサービスを提供しています。
主な活動内容として、それ以外に
・身体障害者向けのプログラム(リハビリ・スポーツ・職業訓練など)
・自立援助活動
・教育(障害児への特殊教育を含む)
・コミュニティ内の相談役(スーパーバイザー)の育成
・記録映像の公開
など、多岐にわたっています。
カクマ難民キャンプには5つの診療所とひとつの病院(中央病院)があります。
診療所で患者を受け付け、必要があれば中央病院への入院などの対応をします。
キャンプ内の病院で対応できない場合は、カクマ市内の病院や、
ナイロビなど都市にある大きな病院に転院し適切な処置を行います。
キャンプ内の病院には機能訓練室や研究室などもあり、
難民キャンプの病院としてはかなり規模の大きなものとなっています。
ただ、8万人にのぼる難民への医療サービスを適切に行うことは困難を極めます。
現状、診察を受けても、ほとんどの場合は薬だけを渡されて帰されるそうです。
入院するということは極めて稀なケースに限られます。
難民医療の中心は診療所よりも、
コミュニティ内にいるスーパーバイザーがになっているのが現状でしょうか。
出産や、死亡なども、病院ではなくコミュニティ内で対応しています。
IRCの医療チームを悩ませているのは、
やはり、マラリアやアメーバ赤痢などの感染症、それと毒サソリです。
そう、カクマには毒サソリがいるんです。
へたにビーチサンダルで外を歩いたら、とんでもないことになるそうです。
ほとんどの患者はこれらに該当します。
キャンプ内の衛生状態が改善しない限りはこの問題は解決しません。
そして、キャンプ内で最も大きな問題は、栄養失調です。
満足な栄養を摂取できていないのは、前述した通り、
食糧配給の大幅な削減によるものです。
栄養と衛生、こういった根本的な問題を解決していくことが、
今後の最も大きな課題でしょう。
これが病棟です。見てのとおり、テントです。