建設ワークについて
ひょっとしたら、まだ言っていなかったかもしれませんが、
今回のカクマ訪問の一番の目的は「青年センター」の建設です。
建設です。土木作業です。
キャンプのなかには、学校を卒業し、時間を持て余した難民がたくさんいます。
多くの青年達が労働をしたくとも就労する機会もなく、余暇を持て余しています。
キャンプ内には麻薬も流行しており、暇つぶしに麻薬を愛用する青年も多いようです。
また、レイプ、強盗、殺人など、青少年による犯罪はあとを絶えません。
未来に希望を見出せないままにキャンプ生活が長期化しており、
その精神的な不安から犯罪に走るケースも増えています。
そういった青年たちの精神的なケアが必要とされています。
そのために、キャンプ内ではさまざまな活動(ユースプログラム)が行われています。
例えば、サッカーなどのスポーツ、裁縫教室、演劇などの文化芸術を含めた活動があります。
また、平和教育や、職業訓練、戦争のショックから精神的に立ち直るための支援などもあります。
そういったユース・アクティビティを先頭に立って進めてきたのが高村さんでした。
「青年センター」は昨年、高村さんが中心となって難民キャンプに建設したものです。
演劇、グループ・ディスカッション、音楽などの活動のために青年達が連日集まってきています。
しかし、キャンプ人口は増加しつづけ、難民キャンプは拡大しつづけています。
ユース・プログラムの中心となる「青年センター」がひとつでは、それをカバーしきれません。
そのため、「カクマ2」と呼ばれる地域にも「青年センター」を建設することになりました。
作業はいたって原始的です。
機会の力は一切使いません。
カクマでは木が貴重なので、建材として、
木ではなくセメントで固めて作ったブロックを使用しています。
作業はほとんど手付かずの状態から始まりました。
簡単に作業を紹介します。
1.掘る
壁を立てる場所に沿って穴を掘ります。
鋤で穴を掘って、スコップでその土をかき出します。
嗚呼、愛しき哉、単純作業。とにかくしんどいです。
現場の人はみな誇らしげに言います。「これがアフリカンワークだ」と。
2.積み上げる
セメントを使ってつくったブロックを積み上げていきます。
慎重に、垂直に積み重なっているかを確認しながらの作業です。
これをセメントで固定していきます。
石工がブロックをセメントで固めて積み重ね、
僕はそのブロックやらセメントやらを運んできます。
やはり、石工は花形ですね。作業が鮮やかです。
3.床を敷き詰める
床になる場所を平らに整地していきます。
再び鋤とスコップを手に持ちました。
しかし、残念なことに、この時点で作業がストップしました。
資金不足のため作業は一時中断し、僕らも帰国を迎えることになりました。
しばらく建設現場はそのまま放置され、
作業の再開は資金を集めた後で、と言うことになりました。
現場で働いているのは、そのほとんどがトゥルカナ人という地域住民でした。
ここは難民キャンプなのですが、難民キャンプができる前からの原住民がいます。
それがトゥルカナ人です。
伝統を重んじ、伝統的な民族衣装を身にまといます。
片手には杖と、どこでも座れるように小さな持ち運び用の木のイスを持ち、
ひとを威嚇しながら歩きます。
ケニアではマサイ族と並んで、特殊な民族です。
現場で働いている人たちはちゃんと近代文明を受け入れた生活をしていますが。
このトゥルカナ地方なのですが、
近年大規模な干ばつに苦しめられており、
難民問題と同時にトゥルカナ地方への援助も急務となっています。
現場で働くトゥルカナ人たちはみな、
自分のすんでいる街では仕事がないから
仕事を求めて出稼ぎにカクマに来た、と言います。
みな、技術もしっかりしており、仕事も好きそうです。
でも、できることなら、キャンプで暮らす難民に労働の機会を作って欲しかったと思います。
余暇を持て余している青年達に、給料を払って、
多少技術的にトゥルカナ人が作るものよりも劣るかもしれないけれど、
それでも、青年達がその作業に関わって、
自分たちの力で作り上げることに意味があると思うのですが。
これが建設現場。この状態で現在も放置されております。
彼は数少ない難民の作業員です。