難民から見た日本について
「ムズング!!(スワヒリ語で白人の意)」
「カワジャ!!(スーダンの言葉でこれも白人の意)」
「チャイニーズ!!(キャンプの人に中国人と日本人の見分けはつきません)」
いろいろいわれてきました。
ここまでいわれると自分がいったい何物なのかもわからなくなってきます。
肌が白い(厳密に言えば黄色いのですが、キャンプの人には黄色と白の区別はつかないです)、
ただそれだけでも目立つのですから。
だんだん、いろいろ言われなくなったのは、
キャンプに馴染んできたせいでしょうか、
それとも肌がアフリカンと見間違うほど黒くなったせいでしょうか。
キャンプの人が日本という国をどう見ているのか。
比較的、というか大多数は友好的です。
これも高村さんをはじめ、いままでここに来た日本人の印象がよかったためでしょう。
ただ、キャンプ内には日本人に対して持っている誤解がいろいろあります。
簡単にそれを紹介します。
○日本人は全員空手ができる。そのため街中でもしょっちゅう乱闘騒ぎが起こる危険な国。
○ジャッキー・チェンやブルース・リーは日本人。
○日本人は労働が大好き(好きなわけでもないのでしょうが)。
○日本人女性は性格がよくて魅力的(誤解?真実でしょうか?)。
とにかく日本人女性の評判はいいです。
アフリカでは全体的にそうなのかもしれませんが。
キャンプで何度も「日本人女性を紹介してくれ」と頼まれました。
まぁ、日本人女性はお金を持っているというのもその理由の一つかもしれませんが。
このページを見ている日本人女性のみなさま。
アフリカ人男性に興味がありましたら、管理人までご一報ください。
アフリカ人、おそらく情報に対する抵抗力が薄いのでしょう。
ジャッキー・チェンの映画を見れば、街中で毎回格闘シーンがあり、
日本(実際は日本ではないのですが)はなんて物騒な国なんだ、と
そう思ってしまうのでしょう。
きっと、いままでカクマにやってきた日本人、
主にわかちあいプロジェクト(今回参加したNGO団体)の日本人女性が
とっても魅力的な素晴らしい人たちばかりだったに違いありません。
そう考えずにはいられないほど、日本人女性の評判はいいです。
そういった素敵な人たちばかりではないという事をどうしても伝えたかったのですが、
彼らの夢を壊すことは僕にはできませんでした。
少しかたい話になりますが、日本は難民の受け入れをしません。
絶対にしないというわけではありませんが、
日本が難民を受け入れるケースは極めて稀なのが現状です。
難民条約に批准している国家であるにもかかわらず、です。
「どうして日本はおれ達を受け入れないんだ?」
何度も質問されました。
それを「政府の方針」としか答えられない自分も情けなく思います。
でも、本当にそれを「政府の方針」とだけですましていいのでしょうか?
結局は世論が変わらない限り、政府がどうしようとも、
難民が日本で生活することなんてありえないのでしょう。
確かに、国民の福祉を第一に考えるのが国家です。
難民を受け入れることによって国民の生活が脅かされる危険を少しでも持っているのなら、
それは正しいことだと思います。
そして、国民に難民を受け入れるだけのホスピタリティがないのであれば、
なおさらです。
国際社会に生きる人間として、難民を受け入れるのは当然だ、というのは簡単です。
けれど、日本人は英語も話せないのに彼らとのコミュニケーションは?
彼らが生活するための住居は?環境は?仕事は?
日本に彼らを受け入れるだけの土壌は、残念ながらありません。
別にここで国家の批判をするつもりも何もないのですが、
そういった現状であることだけは知ってもらいたいのです。
キャンプに生きる彼らにとって、日本はとてつもなく遠い国に感じられるのでしょう。
エチオピアコミュニティにある図書館。日本を紹介するための本を何冊か寄贈しています。
これで少しは日本人に対する誤解が解けることを願いつつ。