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布マスク作戦第二弾。職員・利用者あてに配布決定。
本当に必要なんでしょうか、布マスク。
厚生労働省は新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策として、介護施設・介護サービス事業所、保育所、放課後児童クラブに布マスクを配布することを決定しました。
え?
必要ですかそれ?
厚生労働省は洗えば繰り返し使える布製マスクを介護、障害福祉の現場へ追加配布する。
今年3月から4月にかけて第1弾の約2000万枚を配ったが、第2弾は2倍のボリュームとした。およそ4000万枚の発送を今月下旬から開始する。
そのことをアナウンスする通知を23日に都道府県へ発出。介護保険最新情報のVol.850にも掲載し、関係者に広く周知した。
「現場のマスク不足の解消を図るため」。厚労省は目的をそう説明している。
介護保険を所管する老健局の幹部が先の通常国会で、今後も継続的に配布していく意向を示していた。
政府内では現在、第3弾の実施に向けた調整も進められている。第1弾は利用者・職員に少なくとも1枚ずつだったが、第2弾は少なくとも2枚ずつ。受け取る現場サイドからの申請は特に必要ない。
配布方法は基本的に前回と同じだ。布製マスクを一括購入した国が、日本郵便の配達網を使って現場へ直接的に届ける。
在宅サービスの利用者の分は居宅介護支援事業所へ、総合事業の利用者の分は地域包括支援センターへまとめて送られる。厚労省は今回、現場のケアマネジャーらに改めて協力を呼びかけた。
介護のニュースサイトJOINTより
施設・事業所ごとの枚数の算定にあたっては、介護報酬のレセプトや情報公表制度のデータを用いる考え。介護保険最新情報Vol.850では、「余った分は現場の判断で適切にご活用頂ければ」と説明している。
突っ込みどころ満載です。ネタでやっているとしか思えない。
布マスク配布の第二弾
簡単に言うと、3月に行われた布マスク配布の第二弾です。
あの時は市場にマスクも出回らなかったこともあり、緊急対応的な意味合いが強かったと思います。
もちろん、「サイズが小さすぎる」といった批判も山ほどありましたし、実際にあのマスクをつけている利用者さんはあまり見なかった記憶があります。
今回、その布マスク配り第二弾があるというまさかの発表に現場は戸惑っています。
本当にマスクは現場に不足しているのか?
布マスクどころか、サージカルマスクはもう市場に出回っているし、普通に薬局でも買えるけれど、それは都心部だけなんでしょうか。
ネットショップでもサージカルマスクは即日発送、1枚10円台で購入できる。
ネットショップを見ても、すでに即日出荷で100枚入りで2150円。
こちらは1,000枚で9,990円。
もう1枚単価10円台で買えるんです。
業務用で使用する場合はアスクルなどで注文する場合も多いと思いますが、当然アスクルでも50枚入りのマスクを売ってますし、午前中に注文すればその日に届きます。
市場にも出回っている今、現場にサージカルマスクが足りない、というのは絶対にありえないでしょう。
配布されるのはサージカルマスクではなく、布マスク
しかも、配布されるのはサージカルマスクではなく、布マスクです。
メディアなどでも言われているように、布マスクのウイルス対策の効果は限定的です。
布マスクは目の粗いガーゼを重ね合わせているだけですので、フィルターとしての効果は極めて弱いのが特徴です。飛沫の拡散防止にはなりますが、ウイルス自体を防御する効果はなく、繰り返し手洗いが必要などの手間もかかります。
サージカルマスクは布マスクよりもフィルターの目が細かく、より細かいほこりや花粉なども除去でき、使い捨て出来るので衛生的です。医療現場・介護現場ではサージカルマスクの使用が適しているとされています。
サージカルマスクは医療機関向けに配布されるようですが、なぜ介護には布マスク配布なのでしょう。
ユニクロのエアリズム配るっていうならいいですけどね。
事業所支援で衛生物品購入費用助成できるはず
マスク購入費用の負担を軽減するという意味なのでは、という指摘をする人もいるかもしれませんが、それも矛盾しています。
先日厚生労働省から発表された「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(介護分)」では、衛生物品も含めた感染対策のためのかかりまし経費について助成を行う事業所支援の枠組みを発表したばかりです。
介護サービスは高齢者やその家族の生活を支え、高齢者の健康を維持する上で不可欠なものである。
今後は、介護サービスが、新型コロナウイルスに感染した場合の重症化リスクが高い高齢者に対する接触を伴うサービスであるという特徴を踏まえ、最大限の感染症対策を継続的に行いつつ、必要なサービスを提供する体制を構築する必要がある。
このため、感染症対策に必要な物資を確保するとともに、感染症対策を徹底しつつ介護サービスを継続的に提供するための支援を導入する。
支援対象経費
以下のようなかかり増し経費について支援を行う。
(例)
a 衛生用品等の感染症対策に要する物品購入
b 外部専門家等による研修実施
c (研修受講等に要する)旅費・宿泊費、受講費用等
d 感染発生時対応・衛生用品保管等に柔軟に使える多機能型簡易居室の設置 等
e 感染防止を徹底するための面会室の改修費
f 消毒費用・清掃費用
g 感染防止のための増員のため発生する追加的人件費
h 感染防止のための増員等、応援職員に係る職業紹介手数料
i 自動車の購入又はリース費用
j 自転車の購入又はリース費用
k タブレット等のICT機器の購入又はリース費用(通信費用を除く)
l 普段と異なる場所でのサービスを実施する際の賃料・物品の使用料
m 普段と異なる場所でのサービスを実施する際の職員の交通費、利用者の送迎に係る費用
n 訪問介護員による同行指導への謝金(通所系サービス事業所が訪問サービスを実施する場合)
o 医療機関や保健所等とのクラスター発生時等の情報共有のための通信運搬費
新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(介護分)実施要綱
まっさきに、「衛生用品等の感染症対策に要する物品購入」と書いてあるように、マスクの購入費用は領収証を添付して申請すれば、かかり増し経費として認められその金額が給付される仕組みになっています。
つまり、事業所はサージカルマスクを負担なく購入できるようになったのです。
経済的な負担もなく、市場にはマスクが出回っている。
なのに布マスクが送り付けられるのです。
まったく意味が分からない。
さらに、衝撃的な文章が。
今後も継続的に配布!?
今後も継続的に配布と書いてあります。
介護保険を所管する老健局の幹部が先の通常国会で、今後も継続的に配布していく意向を示していた。
政府内では現在、第3弾の実施に向けた調整も進められている。
介護のニュースサイトJOINTより
はっきり言いましょう。アホでしょ。
第三弾って。
今後、さらにマスクは市場に増えているでしょうし、値崩れも起こしているでしょう。おそらく今後はマスクの品質を重視するようになっていくでしょうから、ウイルスに対して少しでも効果の高いマスクの需要が高まっていくと思われます。
それなのに、また布マスク配りますって。
意味が分からない。どうかしています。
まだまだ続きます。
ケアマネがマスクを配る
在宅サービス利用者分はケアマネがマスクを配ります。
在宅サービスの利用者の分は居宅介護支援事業所へ、総合事業の利用者の分は地域包括支援センターへまとめて送られる。
介護のニュースサイトJOINTより
おかしいでしょ。
ケアマネ協会ははっきり反対した方がいいです。というか、反対しない理由がわかりません。
厚生労働省もケアマネの業務のあり方を見直すとか言いながら、こんなことをやらせている。なんで誰も必要としていない布マスク配りを定期的にしなきゃいけないのか。
総合事業の利用者の分は地域包括支援センターへまとめて配られる、とかいうけれど、ケアマネに委託しているケースはケアマネにマスクを包括まで取りに越させて、ケアマネに配らせている地域もあります。
マスクを配布するのにどれだけの税金が投入され、それを配るケアマネの労力も必要とされます。いったい誰のための政策なのでしょう。
答えはたぶんこちら。
布マスクの在庫処分
要するに布マスクの在庫処分ということでしょうね。
サージカルマスクもめちゃくちゃ市場に出回っているし、布マスクを必要としている場所もない。
布マスクは継続的に配布するって言った手前、ここらで介護施設に配り切っちゃおうと。どうせなら、この際、枚数や配布先も増やしちゃえ。
とまあ、そんなことなんだろうと思います。
介護施設はゴミ箱じゃない!
マスクを事業所や施設に配送するコストとかを考えたら今すぐストップしてもらいたいですが。
ぶっちゃけ、モノはいらないからカネを出してほしいというのが事業所の本音でしょうね。
介護報酬を引き上げてもらった方が10000倍ありがたいでしょうね。
追記:希望施設のみに変更
布マスク配布に対して批判が多かったことから、マスク配布は希望施設のみが対象になりました。すでに配布済みのところも多いのですが、今後は希望に応じて配布という形式に変わりました。
布マスクではなく、独自にサージカルマスクを事業者対象に配布している市町村もありますし、サージカルマスクも以前と同じ価格で普通に流通していますね。
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