最近、新型コロナウイルスの話題ばかりを取り上げていますが、今回はちょっと違う話題。明るい話題だったらもっといいのですが。
今回取り上げたニュースは、介護施設で行われた暴行の容疑で職員が逮捕されたというものです。
この記事の目次
顔に不自然な赤み。スマホカメラで撮影してみると。
奈良県香芝市の介護施設で、19歳の介護職員の男が男性入所者の顔にベッドの鉄製の柵を何度も押しつけたとして、暴行の疑いで逮捕されました。
男は警察の調べに対し「以前から男性に文句を言われ、嫌いだった」などと供述し、容疑を認めているということです。逮捕されたのは大阪・東大阪市に住む介護職員の19歳の男で、22日午前10時20分すぎからおよそ10分間、勤め先の施設に入所する76歳の男性の顔に、ベッドから引き抜いた鉄製の柵を両手で持って何度も押しつけたとして、暴行の疑いがもたれています。
NHK NEWS WEBより
警察によりますと、施設の別の職員が男性の顔に不自然な赤みがあるのに気づいて男性に聞いたところ、「19歳の職員の男に暴行された」と話したため、施設側が男性の部屋にスマートフォンを置いてビデオで撮影をした結果、男による暴行の一部始終が記録されたということです。
警察の調べに対し、職員の男は容疑を認めた上で、「入所者の男性には以前から介護中に『痛い』などと文句を言われていて、嫌いだったのでストレスをぶつけた」などと供述しているということです。
警察は男が以前から暴行を繰り返していたとみて詳しい状況を調べています。
とても残念な事件です。男性職員は犯行を認め、逮捕となったようです。
この事件について詳しくみていくようにしましょう。
ベッドから引き抜いた鉄製の柵とは
記事によると、ベッドから引き抜いた鉄製の柵とあります。
介護の仕事をしている人にはイメージが付きやすいと思いますが、介護用ベッドに付属しているベッド柵と呼ばれるものです。
商品名で言えば、「サイドレール」となっているものが多いと思います。
このサイドレールに関しては、上からベッドにある穴に上からはめ込むだけで、簡単に抜き差しができます。固定されていないので、移動のときに体重をかけることは推奨されていません。
固定するときに使うのはこのようなものです。
これは一般的に「介助バー」と呼ばれています。グリグリっとねじで回して固定します。固定を解除しない限り動かないので、起き上がりや立ち上がりのときにも力を入れて使うことができます。
今回の事件で使われたのは上の「サイドレール」と呼ばれる抜き差しが簡単にできるものだと思われます。
利用者の顔にできた不自然な赤みはその柵を押し付けた跡のようです。
時系列で整理
簡単に時系列で整理しましょう。
- 利用者の顔に赤みがあるのを発見した職員。利用者から「19歳の男性職員に暴行された」と聞き取り。
- 職員、スマホカメラを利用者の部屋にセット。
- 19歳男性職員、利用者にベッド柵を抜き、利用者の顔面におよそ10分間にわたって何度も押し付ける。
- ビデオ映像で暴行の一部始終を確認した職員が通報。
- 警察による聴取、犯行を認め、逮捕。
という流れになっています。
ということは、ビデオで確認した以前に顔の赤みはあったので、それも同じようにベッド柵を押し付けて暴行していたということで、複数回にわたって暴行が行われていたことがわかります。
通報した職員も、一度の暴行容疑でカメラをセットをするかどうかと考えると、ひょっとしたら以前からも不審な部分があったのかもしれません。
警察も以前から繰り返していた疑いとみているようです。
なぜ暴行は繰り返し行われたのか
まずは事件が起きた背景を確認する必要があります。
男性介護職員は、このように供述しています。
「入所者の男性には以前から介護中に『痛い』などと文句を言われていて、嫌いだったのでストレスをぶつけた」
NHK NEWS WEB より
好き嫌いがあるのは人間だから理解できなくもないし、苦手なケアもあるし、苦手に思う利用者がいるのも当たり前といえば当たり前の話です。
全部の利用者を同じように接することはできないし、苦手な利用者がいるなら苦手な利用者だと自分で自己覚知しながらどうケアをしていくかを検討していくことが必要です。
業務として行うケアです。個人で解決できない問題があればチーム内で相談していくこともできます。
それができる環境だったのか、まだ若い介護職員が自分で抱えこんでストレスになっていったのか。
コロナストレスの影響は?
新型コロナウイルスの影響で介護職員だけにとどまらず、ストレスをためやすい状況は続いているのだろうと思います。
これまでストレス発散になっていた趣味や外出も制限され、会いたい人にも会えないという状況があれば、精神的に不安定になっていた可能性もあります。
周囲を見回してみても、イライラしている人は多いのかなという印象もあります。ツイッターとかSNSなんか見ると本当に感じます。
事件のあった奈良県香芝市でも新型コロナウイルスの陽性が出たというニュースもありましたので、身近なものと感じていたかもしれません。
施設側も集団感染を起こしてはいけないので、プライベートに関しても注意を促していたと思いますし、対利用者のストレス以外の部分で積み重なっていたものもあると思います。
自粛期間の今、できるストレス解消法を身に着けておくのも大事でしょう。
もちろん、やってはいけないし、あってはいけないけれど、単純にその男性職員を批判するだけではいけない問題だと思います。
コロナで虐待件数が増える?
ひょっとしたらコロナウイルスで虐待の件数は増えていくのかもしれません。
コロナ以前と比較して、虐待の件数が増えたかどうか、調べてみるとひょっとしたら深刻な結果が出るかもしれませんね。
虐待の件数自体が増えなかったとしても、水面下での虐待は増えているかもしれません。
施設は面会をストップしますし、在宅でも人の出入りは少なくなるので、虐待が行われていたとしても、それが発見されるケースは少なくなります。
施設だけでなく、在宅の場合の方がもっと深刻な影響があるかもしれません。
これまで仕事をすることで親の介護から離れる時間があったのに、在宅勤務になってしまい、それがなくなった。
父は週2日デイサービスに行っていたのに休業になったので、自宅で常に介護をしなければいけない。
夫の介護をする傍ら、サロンや介護者の集いなどに参加していたが、そういった場もなくなり、介護に追われるだけの毎日になった。
いろんなケースがあると思います。
そういった掘り起こしをする余裕も機能も、少なくとも今の地域包括支援センターにはないでしょう。
この緊急事態がいつまで続くのか。ストレスは社会にますます深刻な影響を与えかねません。
インターネットで解決できることも
中にはインターネットをはじめ、テクノロジーで解決できる問題もあると思います。
介護家族のためのオンラインサロン、高齢者対象の運動指導を行うyoutubeチャンネル、まだいろいろ可能性はあります。
やってみてエラーがあっても仕方ないと思いますよ。
youtubeで運動指導したら、それが原因で膝が痛くなった!どうしてくれるんだ!って言われるリスクや、訴訟のリスクがあるからできないとか、言ってる場合じゃなくなっているんじゃないかな。
社会全体がリスク容認しながらトライエラーを積み重ねていくしかないんじゃないかと思います。
だいぶ話が脱線しましたが。
このような事件を繰り返さないために
いままでも虐待に関する事件はこのブログでも取り上げてきましたが、大事なことは同じ、そこから何を学んでいけるかということです。
同じような虐待が、どこかで繰り返すことがないように。
今回の事件から学べることは、以下のような部分だと思います。
- 苦手な利用者がいることは当然と理解し、抱え込まず、職場内で解決する方法を模索する。
- いまできるストレス解消法を身に着ける。
介護職員の皆様、感染リスクに注意しながら仕事も続けなければいけないという、本当にしんどい時期だと思います。
少しでもこの新型コロナウイルスが早く収束するように願うのみです。
最近のコメント