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令和元年度のケアマネ試験、受験申込者数が公表される。
今年度のケアマネ試験(介護支援専門員実務者研修受講試験)の申し込みが締め切られ、受験者数の公表を非公表とした新潟県・岡山県・長崎県を除いた今年度の受験申込者数が発表されました。
本紙が都道府県に行った調査によると、今年のケアマネジャー試験(介護支援専門員実務研修受講試験)の受験申込者数は4万9,272人(非公表の3県を除く)で、大幅に減少した昨年とほぼ横ばいであることがわかった。
シルバー新報より
公表されている受験申込者数は49,272人。新潟・岡山・長崎の3県の受験者数が公表されていないので、受験申込者数の全体を把握することができませんが、昨年の受験者数を見ると3県合わせて2,977人。公表されている数字に昨年同様の受験者数があるとして3,000人を加えたとしても52,272人です。
前回と比較して、受験者数は微増程度になる見込みです。
ただ、平成29年度には131,560人が受験しているケアマネ試験。いったい何があったのでしょう。
平成30年度、ケアマネ試験受験者数4割減の衝撃。
受験者数、わずか49,333人。
昨年度のケアマネ試験は、それまでの受験者数を大きく下回り、受験者数はなんと4割減となりました。
山梨県に至っては受験者数259人ですよ(今年度はさらに減って249人)。
さらに合格率も大幅に下がり、10.1%という数字になったことも大きな衝撃を与えました。
ここに掲載しているのは厚生労働省発表のケアマネ試験の受験者数・合格者数の推移です。
ケアマネ試験 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
第1回(平成10年度) | 207,080 人 | 91,269 人 | 44.1 % |
第2回(平成11年度) | 165,117 人 | 68,090 人 | 41.2 % |
第3回(平成12年度) | 128,153 人 | 43,854 人 | 34.2 % |
第4回(平成13年度) | 92,735 人 | 32,560 人 | 35.1 % |
第5回(平成14年度) | 96,207 人 | 29,508 人 | 30.7 % |
第6回(平成15年度) | 112,961 人 | 34,634 人 | 30.7 % |
第7回(平成16年度) | 124,791 人 | 37,781 人 | 30.3 % |
第8回(平成17年度) | 136,030 人 | 34,813 人 | 25.6 % |
第9回(平成18年度) | 138,262 人 | 28,391 人 | 20.5 % |
第10回(平成19年度) | 139,006 人 | 31,758 人 | 22.8 % |
第11回(平成20年度) | 133,072 人 | 28,992 人 | 21.8 % |
第12回(平成21年度) | 140,277 人 | 33,119 人 | 23.6 % |
第13回(平成22年度) | 139,959 人 | 28,703 人 | 20.5 % |
第14回(平成23年度) | 145,529 人 | 22,332 人 | 15.3 % |
第15回(平成24年度) | 146,586 人 | 27,905 人 | 19.0 % |
第16回(平成25年度) | 144,397 人 | 22,331 人 | 15.5 % |
第17回(平成26年度) | 174,974 人 | 33,539 人 | 19.2 % |
第18回(平成27年度) | 134,539 人 | 20,924 人 | 15.6 % |
第19回(平成28年度) | 124,585 人 | 16,281 人 | 13.1 % |
第20回(平成29年度) | 131,560 人 | 28,233 人 | 21.5 % |
第21回(平成30年度) | 49,333人 | 4,990人 | 10.1 % |
第1回~第21回合計 | 2,805,153 人 | 700,007 人 | — |
大幅に受験者数が減った中で、さらに合格率も大きく落としている昨年度の試験は非常に衝撃的なものでした。
ケアマネ試験受験者激減の理由は資格要件の厳格化だけなのか?
この受験者数の激減、専門家は受験資格の厳格化(受験資格を国家資格保有者に限定したこと)によるもので、ケアマネの質を向上するためのものだといいますが、はっきり言ってそんな理由だけではありません。
介護福祉士等の介護職の処遇改善が進んでいるもののケアマネの処遇改善は置き去りのままになっています。ケアマネの待遇は介護職や医療関連職などと比較して相対的にどんどん低下している状況にあります。
日本介護支援専門員協会は何をしている?
さらに、居宅介護支援事業所の管理者資格を主任ケアマネに限定したことが大きな追い打ちとなりました。中小規模の法人では未経験ケアマネの採用を控えるようになるため、未経験ケアマネはケアマネとしての仕事につくことができず、ケアマネの大きなメリットである独立開業への道も非常に険しいものとなりました。これを仕組んだのは職能団体である日本介護支援専門員協会なのだから、本当に馬鹿げた話です。いかに彼らが介護支援専門員の未来を考えておらず、自分たちのことしか考えていない集団であるのかがわかるでしょう。
それなのに、日本介護支援専門員協会の会長はこんなことを言っているんです。
8月29日に開催された介護保険部会で、日本介護支援専門員協会の濵田和則副会長は「受験者が大幅に減少している要因を分析する必要がある」とし、また次回改定でのケアマネの処遇改善の必要性も訴えた。
シルバー新報より
もう一年経っているのに分析もしてなかったんですか?自分たちの責任でもあるんじゃないですか?最後は介護報酬頼みですか?
国はケアマネを削減しようとしているのではないか、ケアマネは絶滅してしまうのではないか、ケアマネジャーという職業はなくなってしまうのではないかという不安を感じているケアマネも少なくないと思います。
日本介護支援専門員協会には、そんな危機感をもってもらいたいと切に願います。
さらに受験手数料の値上げ。
5000円以上値上げする都道府県も。
ケアマネ絶滅の危機、という状況でありながらも、今年のケアマネ試験ではほとんどの自治体が受験手数料を値上げしています。
ケアマネ試験を開催するのは各都道府県なのですが、受験手数料の設定は各都道府県ごとに行われていますので、金額には都道府県ごとに差があります。
今回、福島県・新潟県・福井県・滋賀県の4県は手数料を前年からの据え置きとしましたが、それ以外のすべての都道府県で受験手数料が値上げされています。
数百円単位の値上げという県もありますが、青森県では7700円から11700円、千葉県では8700円から14400円、愛知県でも8700円から13800円と、5000円近い大幅な値上げに踏み切った都道府県も見られます。
受験者が激減したことにより、受験者や運営にも影響が出ている。その一つが受験料の値上げだ。本紙調査によると、43都道府県が受験者の減少を受けて、昨年から受験料を引き上げている。千葉県は、昨年8700円だった受験料を、今年は1万4,400円と6割以上引き上げた。同試験の問題を作成している社会福祉振興・試験センターは、受験者の激減を受けて、700円だった問題作成手数料を今年から1,800円に引き上げており、これも引き上げの要因となっている。
シルバー新報より
ここまでケアマネが危機的な状況にあるのに、問題作成手数料とか値上げしてる場合か?このままいったら、そもそも試験や資格自体がなくなるぞ?
そもそも、今の試験問題の内容を見て、まったく実務に結びつかないあの試験問題に1800円の価値があるのか、きちんと精査をすべきではないでしょうか。
どうなる、ケアマネ。
このままでは、ケアマネという仕事がなくなる。
そんなことを言うと、鼻で笑う人もいるかもしれませんが、このままいったら間違いなくケアマネという資格は廃止されるでしょう。
専門性に欠ける、医療的視点を持っていない、地域内での連携ができない、地域の社会資源の活用ができていない。これまでも様々な難癖をつけてきましたが、国はケアマネという資格の価値をどんどん削りに来ているんです。
ケアマネはそれに対して防衛しなければいけないし、自分たちの行っている仕事を主張しなければいけない。
もちろん、居宅介護支援の自己負担導入についても、反論すべきところは反論していかなければいけません。
※だって、プラン作成料って言っているけど、実際はプラン作っても給付管理しなければ報酬は入らないし、給付管理はそもそも利用者の直接の利益につながるものではない公的な業務でしょ。それに自己負担はそもそも論点としておかしいでしょ。
ますます多様化していく社会。20年度、30年後の未来にケアマネジャーという仕事を残していくことが必要だと主張していきたいと思います。
追記:ケアマネ試験を襲う大惨事
続報ですが、ケアマネ試験の前日に台風19号が日本上陸、暴風域の交通機関などが軒並みストップ。
この被害を受けて、関東や東北などのケアマネ試験は中止という決定を下しています。
現時点ではまだ延期などのアナウンスもないのですが、年度末に開催の可能性もあるようです。
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