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参議院議員選挙、介護の未来を決める選挙
注目される参議院議員選挙、7月21日に投開票が行われます。
介護をテーマにするこのブログでは、国政選挙に合わせて各党の公約の比較などを掲載してきました。
年金や憲法、消費税など様々なテーマが争点となっていますが、介護・社会保障についても大きな争点となっています。
介護職が介護の未来に向けてよりよい選択の一助になるための各党政策まとめを作成しております。
この国の介護の在り方を決めるための選挙でもあります。
ぜひ未来の介護のために一票を。
自民党
- 地域包括ケアシステムの推進
- 高齢者・障害者の就労促進
- 人生100年時代の年金制度
- AI・センサー・ロボット等による介護現場の効率化
- ICTの推進によるペーパーレス化
- 断らない相談支援
- 収入の少ない年金生活者に10月から最大6万円の福祉給付金
- 介護職員処遇改善の拡充
政権与党ですので、現状に全く不満がなければ今回の選挙で自民党を支持するのがいいと思います。
もちろん公約には耳障りのいいことしか書かないものですが、現在審議会等で検討が進められているものに関しては以下のようなものがあります。
- 介護サービス自己負担を原則2割に。後期高齢者医療も原則2割
- 居宅介護支援への自己負担導入
- 軽度者の生活援助サービス利用は保険対象外
- 法人の統合・淘汰による大規模化推進
- 外国人介護職による人材確保
このへんは否定も肯定もしていないので、導入されるものと思っていたほうがいいでしょう。
「居宅介護支援費に関しては、誰でも公平にケアマネジメントが受けられるように、介護保険制度で全額を賄う現行制度を堅持する」とケアプランの有料化に反対の立場を示したという記事もあるのですが、ソースがなく、2012年の資料に掲載されている文言そのものなので、これはあまり信用しないほうがいいのかなと。
介護職員の処遇改善は介護関連で目玉にしている部分と思われますが、今回の介護職員特定処遇改善加算などのようにピンポイントに絞った処遇改善が行われていくのか、それとも介護報酬の底上げによる介護職員全体の待遇改善を目指していくのかも見極めていきたいですよね。
また、消費増税による税収分を介護職員の処遇改善や社会保障に充てるということですが、実際のところ社会保障に充てる割合は少なく、あまり期待はしない方がいいでしょう。
公明党
- 介護ボランティアポイント・お元気ポイントの普及
- 介護職員キャリアアップのための研修
- ICT化・ロボット活用
- 低所得者の介護保険料軽減
- 自動運転導入支援、コンパクトシティ
ぱっと見た印象、当たり障りのない公約ですね。自民党の公約に沿っているんでしょうけれど、そもそも公明党の政党としての存在意義が何なのかも疑問になります。相違する部分は憲法の部分くらいでしょうかね。いっそのこともう自民党と完全に合流してしまえばいいのにと思うのですが。 「自民党チーム創価学会」くらいでよさそうなものですが。
あとは低所得者対策ということは強調するのはいつもの通りなので。
立憲民主党
- 医療・介護・保育・障がいに関する費用の世帯の合計負担額に、所得に応じた上限を設ける総合合算制度を導入
- 年金の最低保証機能
この総合合算制度については、親の介護をしながら子育てをしなければいけないとか、高齢の親と子供が障害の家庭とか、いわゆるダブルケア・トリプルケアが必要な世帯の負担軽減を目指すものですね。
サービス利用に関して世帯としてどのくらいの自己負担になるのか、高齢の親と障害の子などのそれぞれの支援が細切れになっていてはいけないので、その連携ができるかどうかでしょうね。
それ以外の言及はないので、野党第一党としてはちょっとインパクトに欠けるかなと。
国民民主党
- 医療・介護・保育・障がいに関する費用の世帯の合計負担額に、所得に応じた上限を設ける総合合算制度を導入
- 低所得の年金給付者に上乗せ給付
- 要支援利用者への総合事業のサービスを予防給付に戻す
- すべての介護職員の賃金引上げ
総合合算制度については立憲民主党と変わらないですね。党名が変わったばかりでそもそもどっちがどっちかわからない。
介護職員の処遇改善については、現行政権の行っているベテラン職員への重点化ではなく、すべての介護職員を対象にしています。
日本維新の会
- 高齢者の雇用創出
- 自立支援に軸足を移した介護
重点になるのはいわゆる自立支援介護ですね。
自立支援インセンティブで、介護度や自立度の改善をもとに事業所にインセンティブを与えるという方向性をより強めることを狙いとしていますね。
改善する見込みの薄い利用者やレスパイトを中心にしたサービスは置いてけぼりを食う制度になっていきそうです。
基本的には維新の主張というのは身を切る改革という点で、議員報酬や議員定数の削減なのに変わりはありませんね。
日本共産党
- 特養抜本的増設による特養待機者ゼロ
- 軽度者切り捨て政策を中止、総合事業は予防給付に戻す
- 住民税非課税世帯の介護保険料を軽減
- 要介護認定や利用限度額などの仕組みを撤廃
- 介護・福祉労働者の賃金アップ、国庫から直接支給など月5万円の賃上げ
- 介護報酬、基本報酬の底上げ
もはや一番野党らしい野党になった感のある日本共産党。
介護分野に関しては現行政策を真っ向から否定している印象ですね。
介護報酬も加算重視から基本報酬の底上げ、介護職員には国庫から直接支給など実現可能性はともかく介護・福祉の分野にリソースを投入していきたいという思いが最も強く感じられます。
日本共産党じゃなければ投票するのに、という声も聞こえてきそうですが。
社民党
- 総合事業廃止、予防給付に
- 自己負担の2割負担・3割負担を撤廃
- 特養増設・介護難民の解消
- 介護報酬引き上げ・介護職員の処遇改善
すっかり昔の面影もなくなった元社会党。
介護福祉に関しては現行政策を否定する立場で共産党の政策に近いですね。
れいわ新選組
- 保育、介護、障害者介助の公務員化
- 障がい者福祉と介護保険の統合路線は見直し
介護職員の公務員化。ぱっとイメージがつかないのですが。待遇改善については最低賃金の引き上げなども政策に掲げていますね。
65歳になった障碍者が重度訪問介護などのサービスを利用できなくなるなど、65歳の壁問題に言及しています。
タレント山本太郎の芸風のイメージが強いのでキワモノっぽい印象を感じてしまいます。政策も大胆ですが、デフレ脱却のためどんと財源を使っていこうという感じですね。
その他
それ以外にも、オリーブの木、幸福実現党、労働者党、NHKから国民を守る党など。
興味がある方は各自政策を比較してみましょう。
各党の主張から、今回の選挙の争点としては、【介護職員の処遇改善(重点化か底上げか)】【介護報酬引き上げ(加算中心か基本報酬底上げか)】【自己負担増】【軽度者切り捨て】【特養待機者】というあたりが大きな部分になるでしょうか。
認知症対策やICT化やスマートモビリティといったところは比較的どこの党も共通している印象です。
介護職の声を国政に届けるために
それでも、公約なんて守られることはないから、どこに投票しても変わらない。という方もいると思います。
でも、こんなのはどうでしょう。
介護をベースにしている比例代表の方に票が集まれば、介護関連の人には票が集まるし、票になる。無視できない存在であることを意識させることもできると思います。
小選挙区では選択できなくても、介護職の待遇改善などに声を上げている方に比例代表で票を投じることもいいんじゃないでしょうか。
ということで、比例代表で出馬している介護出身者はこちらです。
かくた充曲(新人・自民党)
全国老人福祉施設協議会 理事
特別養護老人ホーム 元氣の里・元氣の家 顧問
山本左近(新人・自民党)
医療法人社会福祉法人 理事。
FIドライバーの印象が強いですけど。
山口かずゆき(現職・維新の会)
理学療法士・介護支援専門員の資格を持っています。福島県理学療法士会会長。
ブログには介護関連のテーマを記載しています。
原純子(新人・共産党)
社会福祉士、元・医療法人職員
また、実際に介護を受ける立場の方も立候補しているのが今回の特徴ですね。
ふなごやすひこ(新人・れいわ新選組)
介護事業会社副社長、元・ALS協会千葉県支部運営委員
難病ALSの方です。人工呼吸器を装着しています。
木村英子(新人・れいわ新選組)
全都在宅障害者の保障を考える会代表
脳性麻痺と頸椎損傷を負っていらっしゃいます。
何を基準に投票すればいいの?
基本的に今回の選挙は現行の自民党政治に対して賛成か反対かの信任投票のようなものです。自民・公明に投票するか、それ以外に投票するか。現行の政治に対して、賛成であればその意思を示すかもしくは投票しない、もしくは白票を投じる。反対であればそのなかで自分の考えに近いと思われる党の名前を書く。
でも、今回は介護をバックグラウンドにしている候補者もたくさん出馬しているので、介護に注力してほしいと思う人は、先ほど紹介した比例代表の方たちの名前を書いて、介護が無視できない存在であることをアピールすることもいいのではないでしょうか。
そのなかで、現行政権に賛成するならば、かくた氏・山本左近氏の名前を書き、不満があるのであれば山口氏・原氏の名前を書いたり、当事者として出馬されたふなご氏や木村氏に投票するのもいいのではないでしょうか。
未来の介護に向けたメッセージを伝えるための選挙です。
7月21日のシフトは早めに確認し、投票所に行けない場合は不在者投票を済ませておきましょう。
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