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京都府八幡市社会福祉協議会による文書偽造!
非常に残念なニュースです。
ケアマネが利用者の印鑑を無断で作成し、それを利用票の確認印などに使用していたという報道です。
京都府八幡市社会福祉協議会のケアマネジャーが、介護サービス利用者114人分の印鑑を無断で作り、本人や家族の許可無く使用していたことが23日、分かった。市は利用者への確認が不適切として調査、市の聞き取りに対しケアマネ4人は「印鑑をもらい忘れた際に備えて作っていた」と話しているという。
[ケアマネが印鑑無断作成「忘れた際に備えて」10年で114人分 ]京都新聞
市社協によると10年ほど前からこうした運用が行われており、その期間に利用者本人や家族に許可無く作成された印鑑114人分(119本)を確認。うち93人分(97本)が使用されていた。
介護保険法に基づく省令では、月1回、ケアマネが利用者らに介護サービスの内容や日時、保険料などを示した計画書を提示し、同意の証明として押印してもらう必要がある。
市の聞き取りに対し、ケアマネは「押印してもらうのを忘れた際に無断作成した印鑑を押していた。認知症の利用者の場合、再訪問すると混乱させてしまうことがある」などと説明しているという。
4月下旬に市への情報提供で発覚。市社協の和田康弘事務局長は「事務局として、こうした運用がされていたことは知らなかった。印鑑を無断作成された利用者や家族に謝罪し、再発防止を徹底する」と話した。
なんと114人分の印鑑を作成していたということです。ケアマネ4人体制だということであれば、ひとり30人担当していたとして、おそらくほぼ全利用者分の印鑑を作成していた可能性もあります。
公的な文書偽造、明らかな犯罪行為
印鑑はシャチハタや三文判など、100円ショップでも買うことはできます。
罪の意識もなくこのような行為を続けていたのでしょうか。
はっきり言ってコンプライアンス以前の問題です。
そもそもサービス利用票への印鑑は必要なのか?
サービス利用票というのは、ケアマネジャーがサービスの利用予定やサービスにかかる費用の目安を利用者と確認するために作成し、確認していただいたものには確認印(もしくはサイン)をもらう必要があります。
と理解していますが、でも、その法的根拠ってどこにあるのか。
居宅介護支援事業の運営に関する基準を確認すると、モニタリングについてはこのように記載されています。
運営基準には何と書いてある?
十四 介護支援専門員は、前号に規定する実施状況の把握(以下「モニタリング」という。)に当たっては、利用者及びその家族、指定居宅サービス事業者等との連絡を継続的に行うこととし、特段の事情のない限り、次に定めるところにより行わなければならない。
イ 少なくとも一月に一回、利用者の居宅を訪問し、利用者に面接すること。
ロ 少なくとも一月に一回、モニタリングの結果を記録すること。
サービス計画に確認を受けることについてはこのように書いてあります。
第十三条 指定居宅介護支援の方針は、第一条の二に規定する基本方針及び前条に規定する基本取扱方針に基づき、次に掲げるところによるものとする。
八 介護支援専門員は、利用者の希望及び利用者についてのアセスメントの結果に基づき、利用者の家族の希望及び当該地域における指定居宅サービス等が提供される体制を勘案して、当該アセスメントにより把握された解決すべき課題に対応するための最も適切なサービスの組合せについて検討し、利用者及びその家族の生活に対する意向、総合的な援助の方針、生活全般の解決すべき課題、提供されるサービスの目標及びその達成時期、サービスの種類、内容及び利用料並びにサービスを提供する上での留意事項等を記載した居宅サービス計画の原案を作成しなければならない。
十 介護支援専門員は、居宅サービス計画の原案に位置付けた指定居宅サービス等について、保険給付の対象となるかどうかを区分した上で、当該居宅サービス計画の原案の内容について利用者又はその家族に対して説明し、文書により利用者の同意を得なければならない。
これ、ひょっとして、運営基準にも載っていないってこと?
毎月サービス利用票を作成し、説明し、確認の印鑑をもらい、一部を交付するという行為がケアマネの仕事と思いこんできたけれど、それは本当なのか?
介護サービス計画の6表・7表という位置づけで確認をいただくことは必要としても、毎月必ず確認印をもらわなければいけないことなんか、実は法令には書いていない。
厚生労働省の介護サービス関係Q&Aにも載っていない。
法令検索しても出てこない。
自分が思い違いをしているだけかもしれないけれど。
全国のケアマネが行っているこの行為の正体はいったい何だ?
訪問の目的は印鑑ではなく、モニタリング。
少なくとも、訪問の目的はあくまでモニタリングであって、利用表に印鑑をもらうことではないのです。
その意味を見失ったケアマネがこういった事故を起こしているのです。
当月中に印鑑をもらわないといけない、とか、サインじゃダメ、とか、シャチハタじゃダメ、とか、サービス計画変更したらその都度利用票を発行して確認印をもらわなきゃダメ、とか勝手なルールを作っている事業所のなんと多いことか。
いや、事業所だけじゃなくてローカルルールで市町村がルール作りをしたりするので余計に厄介なんですけれどね。
最初はもらい忘れた時のため、だったのかもしれない
供述としては「もらい忘れた時のため」となっています。
一部は合っているかもしれませんが、おそらく実際は違うでしょう。
最初はそのつもりで購入したのかもしれませんが、94人分はすでに使っているということであれば、もらい忘れたではなく、意図的にもらっていないケースもあるでしょう、というか、その方が多いのかもしれません。
利用票に印鑑をもらうということの意味自体を見失い、公的な文書偽造という犯罪を犯しているケアマネジャーはきっと、ここだけではないと思います。
4人もケアマネがいて、社会福祉協議会という複合的な事業体系の目があって、それで10年間もこのような状態を続けてきたというのは異常です。
自立支援のためのプラン作成やら医療との連携やら事例検討なんて、二の次でいい。ケアマネジメントに必要な倫理について、実務者研修できちんと学ぶ機会を持つ必要があるんじゃないでしょうか?
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