ビデオカメラが見ていたグループホームでの虐待。介護職員が、時間を守ることよりも大事なことは・・・。

グループホームでの虐待

なぜ?グループホーム職員が入居女性を拭く数回殴り一週間の怪我を負わせる。

認知症の高齢者が共同生活をするグループホーム。

そこで起きていたのは信じられない虐待でした。

 勤務先のグループホームで入所者の認知症の女性(85)を殴ってけがをさせたとして、警視庁はホームのパート職員伊東良介容疑者(29)=横浜市保土ケ谷区=を傷害の疑いで逮捕し、28日発表した。「なかなか歩き出してくれなくて、いらいらしてやってしまった」と容疑を認めているという。
 碑文谷署によると、逮捕容疑は25日夜~26日早朝、東京都目黒区のグループホームの女性の部屋で、女性の頭や腹を複数回殴り約1週間のけがを負わせたというもの。伊東容疑者は女性の部屋がある階の担当者で、この日は夜勤だった。以前から女性の体にあざがあるのを不審に思った家族が部屋に設置したカメラに、逮捕容疑となった暴行の様子が映っていたという。署は伊東容疑者がこれまでも暴行を加えていた疑いがあるとみて調べている。

[入所者殴った疑いで職員逮捕 家族が設置のカメラで発覚]朝日新聞

グループホームでの虐待。ビデオカメラは見ていた。

不審に思った家族。虐待は繰り返されていた。

グループホームに入居している女性の体にあざがあるのを家族が不審に思ってビデオカメラを設置したことで犯行が明るみになりました。

つまり、この虐待は繰り返されていたのです。

グループホームにおける家族と利用者との関係

グループホームに入居すると利用者の家族は、次第に面会の頻度も少なくなり、中にはほとんど顔を出さないという家族もいます。

それはグループホームで生活している様子に安心をしてなのか、いつも忙しそうな職員に気を使ってなのか、家族のことを忘れていく利用者と過ごす時間が苦痛になるのか、もしくは家族側の事情など、様々な理由はあると思います。

ただ、顔を出す頻度は時間の経過とともに少なくなることが多いことは間違いありません。

そうなると、こういった犯行も表面化しにくくなります。

ビデオカメラの映像で犯行をとらえないと立証は難しい

虐待に関しては、実際に行われていた現場をとらえないと立証は難しいと考えられます。

たとえば連続で死亡事故につながった奈良県の介護老人保健施設こころ上牧の事件。

夜勤で他に誰も出入りしないであろう状況で、第一発見者には事件発生当初から疑惑が向けられていました。

一年以上の時間を経過して、第一発見者である職員が逮捕されたものの、処分保留で釈放されています。

犯行が行わたであろう時間帯に部屋に出入りしていたのは第一発見者である元職員の男性だけだったことはビデオカメラでもとらえているのに、それでも逮捕には時間がかかり、容疑者が容疑を否認し続けていれば釈放になってしまうのです。

状況証拠だけではなく、実際に犯行が行われている現場をとらえるか、絶対的な証拠がなければいけないのです。

ビデオカメラなしに施設での介護はあり得ないのか。

ビデオカメラは必要なのか?

今回の事件はビデオカメラにとらえていたという事実が全てです。

将来的にビデオカメラはすべての施設にも導入されるようになるのでしょうか・・・。とはいえ、施設は利用者にとって「生活の場」です。特にこの事件が起きたのはグループホームです。

プライバシーを守ることは利用者の生活を守る施設にとって大きな責務です。

介護職員の労働環境もそうですし、夜勤などの一対一の場面が多すぎることも問題でしょうし、解決すべき問題は山積しています。

最初からビデオカメラで生活のすべてを記録しておくことは虐待防止につながるかもしれませんが、それが利用者と家族の幸せにつながるかというと、そうは思いません。

死角があったり、職員の精神衛生面での問題もあったり、完全な監視は限界もありますし、きりがありません。その労力やコストをむしろ利用者のケアに生かしていくことの方が優先すべきでしょう。

なぜ介護職員はいらいらするのか?

「なかなか歩き出してくれなくて、いらいらしてやってしまった」

と逮捕された容疑者がコメントしていますが、なぜ介護職員はいらいらするのでしょう。

それは時間に追われているからです。

スケジュール通りに運ばないと、次の時間帯にしわ寄せがあり、時間がずれていくのです。

でも、それ、誰だって普通のことじゃない?共同生活なんだから仕方ないんじゃない?寝る時間が一度30分ずれたことでどれだけの影響があるの?

時間を守ることにうるさい職員がいるのかもしれませんし、上司の命令なのかもしれません。

でも、それで利用者も職員もストレスをためるくらいだったら、そんなタイムスケジュール一回見直してみたらどうなんでしょう。

まじめな職員ほど、時間に縛られ、心を失っていきます。

守らなきゃいけないのは、利用者の時間よりも利用者の心でしょう。

もう少し、「人間らしい」不真面目さを備えた生活環境があってもいいのではないでしょうか

記事編集・監修

 

介護福祉ウェブ制作ウェルコネクト

居宅介護支援事業所管理者・地域包括支援センター職員・障碍者施設相談員など相談業務を行う。

現在はキャリアを生かした介護に関するライティングや介護業界に特化したウェブ制作業を行う。

グループホームでの虐待

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