介護職による犯行などに関してここで取り上げることも多くありますが、今回紹介するのは非常に身勝手極まりない事件で、怒りさえ覚えます。
この事件について、詳しく紹介していきます。
この記事の目次
横須賀市軽費老人ホームで女性の口座から現金125万円が引き出され、女性は窒息・心肺停止で死亡。
なぜ女性は殺されなければいけなかったのか
神奈川県横須賀市の老人ホームで入所者の無職、菅谷伊津子さん(89)の口座から現金を引き出したとして、窃盗容疑で施設職員の介護福祉士、田村真樹容疑者(31)が神奈川県警に逮捕された事件があり、田村容疑者が「借金があった」と供述していることが26日、分かった。菅谷さんは24日朝、3階自室で心肺停止の状態で見つかり搬送先の病院で死亡。司法解剖で窒息死と判明したことから殺人事件として捜査している。
県警によると、菅谷さんの口座からは昨年12月下旬~今年1月中旬にかけ、9回にわたり計約125万円が引き出されていた。
施設関係者によると、ホームは認知症などの症状がないことが入所条件の1つで、菅谷さんは金銭管理を自身でしていたとみられている。23日に口座に身に覚えのない引き出しがあることに気付き、別の男性職員を通じて県警横須賀署に相談。県警は24日深夜、菅谷さんのキャッシュカードで現金自動預払機(ATM)から15万円を引き出したとして田村容疑者を逮捕した。
捜査関係者によると、田村容疑者は介護福祉士として菅谷さんを担当することはなかったというが、菅谷さん死亡の経緯について知っているとみて調べを進める方針。県警は26日朝、田村容疑者を送検した。
「窃盗容疑で老人ホーム職員逮捕「借金あった」 被害の女性入所者は死亡 神奈川・横須賀 」Yahoo!ニュース
記事の内容を時系列で整理してみましょう。
【1月23日】 女性が自身の口座から身に覚えのない引き出しが多数あることに気が付き、別の男性職員を通して警察に相談。その額は9回にわたり125万円。
【1月24日朝】 自室で心肺停止の状態で見つかり、窒息死と判明。その後、殺人事件として調査。
【1月24日深夜】 県警がATMからキャッシュカードで現金15万円を引き出したとして田村容疑者を逮捕。
【1月26日】 県警は女性の死亡の経緯を知っているとみて田村容疑者を送検。容疑者も「借金があった」と供述。
という一連の流れになっています。
キャッシュカードによる窃盗が発覚してから、女性がなくなるまで2日間。
田村容疑者が直接その女性を担当しているわけではなかったようですが、もし女性が現金が減っていることに気が付いて、相談する先が田村容疑者だったとしたら、警察に通報されないように揉み消そうとしたかもしれませんし、警察に通報される前に凶行に及んでいたかもしれません。
窃盗と女性の死亡の関係について調査をしていくことになりそうですが、警察側も殺人事件として調査を進めており、この場で断定することはできませんが、田村容疑者による犯行である可能性が極めて高いと思われます。
軽費老人ホームって?本人が預貯金を管理していた?
この事件が起きたのが神奈川県横須賀市の軽費老人ホーム「グリーンヒルケアハウス」でした。
あまり軽費老人ホームについてはなじみがないという人も多いと思います。
軽費老人ホームは老人福祉法に位置づけられる施設ですが、特別養護老人ホームとは違い、自立型の施設です。
一人暮らしなどができない高齢者を対象に、食事や見守りなどを提供する施設になっています。
このグリーンヒルケアハウスは、軽費老人ホームのなかでもC型(ケアハウス)と呼ばれる施設で、自炊ができない程度の身体状況で一人で生活することが困難な高齢者に、食事と見守りを提供する施設となっています。
入居定員が100名。施設のホームページによると認知症や精神疾患を持っている方は入居できない規則になっています。
また、特定施設ではないので、訪問介護のサービスを受けたり、デイサービスに通ったりといった、外部の介護サービスを利用しながら生活を続けていくこともできます。
殺害された女性も、自炊ができない程度の身体状況の悪化はあったとしても、預貯金の管理などは自分でできる能力を有していたと思われます。
この施設には施設長のほか、相談員1名と栄養士・調理員・事務職員が配置され、介護職員も3名配置されています。そのうちの一名が田村容疑者と思われます。
介護職員は配置されていますが、自立型の施設なので、基本的には排泄介助や食事介助などを行うものではなく、入浴時に背中を洗うなどの介助を行うことや、緊急時や体調不良時などの対応をしている場合はあると思いますが、重度のケアではなかったと思われます。
介護福祉士によるあまりに身勝手な犯行。
逮捕された田村容疑者は窃盗に関して、自身の借金と犯行を認める供述をしています。
あまりに身勝手な犯行で、怒りを覚えます。
先週末、介護福祉士国家試験が開催され、国家資格である介護福祉士の取得を目指す方たちが受験をされました。
多くは未来に希望を抱く将来ある若者たちです。
同じ介護福祉士を名乗る者がこのような自己中心的で残虐な行為をするということが、ただただ残念でなりません。
先日の介護福祉士国家試験でも様々な問題が出題されましたが、その出題の内容を見ても、介護福祉士の教育カリキュラムが本当に必要とされているものか、きちんと精査をしてほしいという思いがあります。
防虫剤の種類を問う問題を解答できることよりも、正しい倫理観で業務を行うこと、冷静な判断を行うための健康管理やストレスマネジメントを行うことなど、もっと必要とされる教育課程があるのではないかと感じてしまいます。
みなさんはどうお考えですか?
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