前回の記事ではケアマネ試験の合格者数や合格率について紹介しましたが、今回は1月に試験が行われる介護福祉士国家試験の受験申込者数についてです。
ご存知の方がほとんどかと思いますが、介護福祉士国家試験は年に一回行われる介護実務のスペシャリストとしての国家資格になります。
公益財団法人社会福祉振興・試験センターが各都道府県を会場に開催しますが、今年度は1月27日に開催予定となっています。
今回の全国での受験申込者数が公表されました。
この記事の目次
介護福祉士国家試験の受験申込者数は98,688人。
受験申込者数は98,688人という発表で、前回と比較して「微増」と報道されています。
介護のニュースサイトJOINTより
来年1月に筆記試験が行われる今年度の介護福祉士国家試験の受験を申し込んだ人数が、全国で9万8688人だったことがわかった。社会福祉振興・試験センターが7日に明らかにした。
「微増」であれば受験者は増えているので、介護福祉士の人気は少なからず回復している。
介護現場の人手不足も解消される。
ケアマネ資格の人気は大幅に下がったけれど、処遇改善もあるし、介護現場のニーズの方が多いし、きっと介護福祉士の数は堅調に増えていくだろう
・・・なんて見通しはまったくありません。
実は介護福祉士の受験者数は一昨年度に大幅に減少し、その後微増を続けているだけなので、まったく回復には至っていないというのが現実なのです。
一昨年から介護福祉士国家試験の受験者数は大幅に減っている!
今年度の国試は受験者数が急減。15万2573人だった前回の半分の7万6323人にとどまった。働きながら資格を目指す「実務経験ルート」の条件に、最大で450時間の「実務者研修」が加えられたことが要因とみられる。厚労省はこの見直しが合格率にも影響を与えた可能性があると説明した。「実務者研修が導入されたことで、学習の機会が確保され動機づけに変化が生じたのではないか」。担当者はそう話している。
一昨年の国家試験は79113人が受験を申し込み、実際に受験したのが76323人でした。ちなみに合格者数は55031人と、過去最も高い合格率でした。
昨年はやや持ち直したものの、やはり10万人には届かず。
2009年度からの介護福祉士国家試験の受験者数をグラフにしています。
まだ当日の受験者数はわかりませんが、98,688人より増えることはないので、昨年と大きく変わりはなく、3年連続で10万人を下回ることが確定しました。
最大の課題は450時間の実務者研修
以前は介護福祉士の受験には実務経験の条件を満たせば受験資格となり、筆記試験と実技試験からなる国家試験に合格すれば介護福祉士と認定されていました。
それが、制度改正のために、最長450時間の実務者研修を受講することが介護福祉士になる条件となってしまったため、実務経験者からの受験者は大幅に減りました。
さらに、介護職が学生から敬遠されていることで、介護福祉士養成校となる介護系専門学校や大学の介護学部などは軒並み定員割れを起こしているという状況です。
そして、介護現場は危機的な人材不足を抱えているというまさに負のスパイラル。
もちろん質を求めることも大事ですが、介護福祉士を介護職員の基礎資格にするのか、それとも上位資格にするのかという議論の時点で紆余曲折などもありました。
実務者研修の費用と研修期間が国家資格の取得や介護職員のキャリアアップに向けて大きな足枷となることは、導入する前から分かっていたはずです。
それが受験者数減という人気の低迷につながっているのです。
これだけ危機的な状況、それでもわざわざ受験手数料を上げてわざわざ受験者に予定にプレッシャーをかけているわけですから、危機感はないんでしょうかね。
介護の現場からは人が遠ざかっていく。
外国人6万人で人手不足を補うとか、そういったレベルでどうにかなる問題ではないところまで来ていることを、もう少し危機感を持って考えていかなければいけないです。
ちなみにこんな国家試験の受験者も
ちなみにこんな方も受験されるそうです。
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