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83歳殺害容疑で元介護士逮捕 浴槽に沈める
東京都中野区の老人ホームで今年8月、入居者の藤沢皖(かん)さん(83)が浴室で溺死する事件があり、警視庁捜査1課は14日、藤沢さんを浴槽に沈めて殺害したとして、同ホームの元介護士、皆川久容疑者(25)=杉並区方南2=を殺人容疑で逮捕した。容疑を認め「沈めて殺害するつもりだった。(藤沢さんが)何度も布団を汚すので、いいかげんにしろと思った」などと供述しているという。
逮捕容疑は8月22日午前4時過ぎ、中野区白鷺1の介護付き老人ホーム「ニチイホーム鷺ノ宮」1階の浴室で、湯を張った浴槽に藤沢さんを沈めて殺害したとしている。
同課によると、藤沢さんが布団を汚したため、皆川容疑者が入浴させたが、同日午前4時45分ごろ、「藤沢さんが溺れている」と別の職員を通じ119番していた。皆川容疑者は救急隊員に「(藤沢さんの)入浴中にナースコールが鳴ったので約20分間、浴室を離れた。戻ると溺れていた」と説明していた。
救急隊からの連絡を受けた捜査1課が調べたところ、事件が起きた前後にナースコールが鳴らされた形跡が無く、藤沢さんの首に絞められたような痕があることが判明。浴槽の形状も何者かが故意に沈めなければ溺れない作りになっていた。捜査1課が皆川容疑者に事情を聴いたところ、13日深夜になって容疑を認めたという。
事件当時、同ホームには約50人が入居し、皆川容疑者を含め職員2人で宿直していた。皆川容疑者は3年半ほど前から介護士をしていた。同ホームには1年2カ月前から勤務し、9月に退職していた。
藤沢さんは国際基督教大高校(東京都小金井市)の教頭や、外務省人事課子女教育相談室長を務め、多くの英語の用語辞典を執筆していた。パーキンソン病を患い、食事や歩行に介助が必要だったため、同ホームに入居していたという。
同ホームを運営する介護大手のニチイケアパレス(東京都千代田区)は「ご遺族に深くおわびします。二度とこのような事態を発生させないよう、社員教育の徹底と安全管理体制の強化を図る所存です」とコメントを出した。
悲惨な事件です。
容疑者のコメントをみると、「沈めて殺害するつもりだった」と自供していることから、これは明らかな殺意を持って行われた殺人事件です。
介護職員のストレスだとか、介護事故だとか、そういった話ではなく、殺意に満ちた殺人事件です。
溺れさせただけではなく、首を絞めて溺れさせています。
男性介護職にこういった事件が多いのはきっと偶然ではないのですが、
ただ、多くの男性介護職はまじめに介護と向き合い、利用者に愛着をもって接しています。
臭い物に蓋をするのではなく、再発防止に向けた取り組みを行っていくことが必要です。
男性介護職のストレスマネジメントの在り方、
スタッフが孤立しない仕組みづくり、
やらなければいけないことは山ほどあります。
業界トップランナー、ニチイの有料老人ホームで起きたという事実
事件が起きたのは業界のリーディングカンパニーであるニチイ学館の運営する有料老人ホーム「 ニチイホーム鷺ノ宮 」です。
ニチイ学館はもともと医療事務などの業務委託や医療事務人材の育成などを行っていた企業です。在宅介護サービスに参入したのは1996年、それ以降、コムスンの事業を承継したり、ダスキンゼロケアや小田急ライフアソシエなどを吸収するなどして大きくなっていった経緯があります。
法人の規模が大きいこともあり、このブログでもいくつかニチイ学館に関する事件なども紹介しています。
業界のトップランナーであるニチイだからこそ、職員のストレスマネジメントや虐待防止の教育など、率先して行っていく立場にあるのではないのでしょうか。
追記:被告が殺意を否認、初公判でのまさかの供述
この事件、初公判が行われました。
ここで、殺人罪に問われている元職員の皆川久被告から、殺意を否認する発言がありました。
東京都中野区の老人ホームで2017年、入所者の男性を浴槽で溺死させたとして殺人罪に問われた元職員、皆川久被告(27)は27日、東京地裁(佐々木一夫裁判長)の裁判員裁判初公判で「溺死させてしまったのは事実だが、殺すつもりはなかった」と起訴内容を否認した。被害者参加人の遺族に向かって「本当に申し訳ございませんでした」と謝罪した。
日本経済新聞
これは遺族も納得いかないでしょう。
被害者の首には絞めらえた跡があり、絞殺されたものと思われます。それなのに、溺死だったと供述をし、殺意を否認しているのです。
また、浴槽の設計も、何者かが故意に沈めなければ溺れないように設計されているものと言われています。
そして、被告も逮捕当初、容疑を認めており、「沈めて殺害するつもりだった。」と供述をしていました。
言っていること真逆です。
この公判、今後にも注目していきたいですね。
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