この記事の目次
介護老人保健施設それいゆでの連続死傷、その後に浮かび上がる数々の疑惑
高山の介護施設3人死亡 2階監視カメラ映像を県警解析
岐阜県高山市の介護老人保健施設「それいゆ」で7月末以降、入所者3人が相次いで死亡し、2人が負傷した問題で、施設は22日、死傷者5人が入居していた病棟2階に設置されていた監視カメラ8台のうち4台分の録画機が故障していたことを明らかにした。原因究明に支障をきたす恐れがある。県警は、施設から提供を受け、故障していない4台分の映像の解析を進めている。
前回お伝えした岐阜県高山市の介護老人保健施設それいゆで起きた連続死傷のニュースです。
事件であるか事故であるかはまだ断定できないですが、限りなく事件性の高いものであることは間違いないと思います。
その後もメディアでは多くの情報が報道されていますが、続報の中には明らかに不可解な点がありますので、整理していきたいと思います。
まず、施設には監視カメラが8台設置されていたものの、そのうち4台分の映像を記録していたハードディスクが故障していたということです。
故障していたものをそのまま放置していたのか、
もしくは今回の事件があって初めて故障に気が付いたのか。
こちらの記事に現場の2階の見取り図がありますが、
最初に亡くなった門谷さんが食事をのどに詰まらせたデイルームの映像を録画している監視カメラの映像も
ハードディスク故障のために録画がされていないようです。
それ以外の4件の死傷者発見場所はいずれも監視カメラの設置されていない居室であるため、現場映像は残っていません。
また、いずれの現場もサービスステーション(病院でいうナースステーション・職員がつめている場所)から監視カメラに残らずに
移動できる居室になるので、職員の監視カメラに残ることはないと思われます。
最初のデイルームで死去した門谷さんに関しては食事を詰まらせているので、他の4件とは明らかに性質が違います。
ただ、窒息後の対応が適切だったのか、予見してリスク管理ができていたのかは、裁判などでも争点になる大きな項目なので、
その証拠ともなるべき映像が残っていないというのは施設にとっては致命的なミスでもありますので、
故障を放置しておいていいという感覚でとらえることはないでしょう。
唯一残っている現場映像も紛失しているというのは、
施設側で隠蔽をしているのか、それとも犯行を起こした何者かが破壊したのか、という可能性も捨てきれません。
「第三者による力が加わったことが死亡につながった」
元職員「直接触ってない」
「5人全員の介助に関わっているって話でしたけども、その日の食事を介助しただけで、つまり何も関わっていなかった」と話すのは、介護老人保健施設で働いていた、30代の男性。
岐阜・高山市の介護老人保健施設「それいゆ」で、わずか2週間余りで入所者3人が相次いで死亡、2人が大けがをしていた問題で、この5人全員の介助に関わる機会があった元職員の男性が、FNNの取材に応じ、関与を否定した。
5人を介助する機会があった元職員は「((死亡した93歳女性について)直接触るようなことは?)触る必要がないですよね。(そういうことは一切していない?)していないですね。発見されるまでは」と話した。
「それいゆ」では、8月6日、93歳の女性が頭を打ち、倒れた状態で見つかり、翌日、死亡したほか、12日には、87歳の女性が、折れた肋骨(ろっこつ)が肺に刺さるなどして、翌日死亡した。
この女性の首や胸には、赤い斑点のあざがあり、司法解剖の結果、第3者による力が加わったことが、死亡につながったと判断されている。
87歳の女性の遺族は「(施設から)明確な説明がないというのは、残念ですね。何か隠してるんじゃないかという、疑いの目にもなっちゃう。普通だったら」と話した。
施設側は、入浴の介助の際に、胸が圧迫された可能性もあるとしているが、男性は、女性に異変が起きた日には、入浴介助はしていなかった。
5人を介助する機会があった元職員は「その日、問題となったお風呂には、一切関わってないです。ベッドから車いすに移す時は、必ず2人で(移す)。もし、強引なやり方でもすれば、当然もう1人が異変に気づきます」と話した。
一方、15日と16日に、大けがをして入院した91歳と93歳の女性にも、胸などにあざがあったことが、新たにわかった。
さらに、施設側の管理体制も明らかになってきた。
施設には、各階に通じるエレベーターがあるが、5人がいた2階からは、暗証番号を入れないと、ほかの階に移動できない仕組みになっていたという。
また、階段につながる扉も、自由に出入りができないため、施設側は、外から第3者が侵入することは難しいとしている。
5人を介助する機会があった元職員は「介助された方が亡くなられたのは、衝撃はでかいですよね。(2人目は)目の前で倒れて、ひどい姿を見て。血を流して倒れている姿を見ているので、それなりのショックはあります」と話した。
短期間に5人が死傷するという、不可解な事態。
事故なのか、それとも事件なのか。
警察は、慎重に捜査を進めている。
亡くなった女性を司法解剖した結果、「第3者による力が加わったことが、死亡につながった」と断言されています。
ということは、施設にそのときいた職員もしくは利用者による加害があったという内容です。
他のケースでも複数のあざなどがあるといった状況から、単純な転倒事故などでは起こりえない内容です。
外部からの侵入はほぼあり得ないと考えると、当日勤務していた職員に疑惑の目が向けられるのは当然なのかもしれません。
また、そのうち2件の事件現場である居室はサービスステーションの目の前にあり、職員の目を盗んで
別の利用者が入室するというのは考えにくいでしょう。
施設の対応は
この不可解な状況に対して、施設側がどう対応をとったのか。
これについても報道がされています。
5人死傷の介護施設、原因究明の形跡なし
これだけの重大事故がありながら、原因の究明や検討を行わないということはありえないでしょう。
内部調査を行うこともなく、インシデント検討を行うこともない。非常に不可解です。
職員を退職させることも理事長が拝み倒して辞めてもらったということですが、
施設側の原因究明と対策というのは、
職員を辞めさせるという一点で完了しているという認識なのではないでしょうか。
法人のホームページなどにも今回の件については一切触れていません。
証拠は隠蔽し、
時間が経過し、うやむやになることを望んでいるのではないかと疑念を持ちかねません。
今後もまたこのニュースについては続報をお伝えしていきたいと思います。
続報
岐阜県高山市の介護老人保健施設「それいゆ」で今夏、入所者5人が相次いで死傷した問題で、県は22日、施設に対し介護保険法に基づく改善勧告を出した。事故防止の指針と、指針に基づく研修プログラムの作成のほか、事故防止に特化した委員会の設置を求めている。
県は、5人死傷という重大性から、行政指導では最も重い改善勧告としたという。勧告への対応について来年2月2日までの報告も求めた。当面の間は毎年、「それいゆ」に実地指導をする方針だ。県内の他の介護保険施設に対しても、事故防止策の強化を求める通知文書を22日付で出した。
「それいゆ」では7月末からの半月間に男女3人が死亡、女性2人が重傷を負った。県は介護保険法に基づき、8~10月に8回の立ち入りを実施。介護職員らに事故の防止体制を聞き取っていた。県警は特別捜査本部を置き、事件と事故の両面で捜査している。
事故防止を求めるといっていても、そもそも事件なのか事故なのか。
いまだに捜査に進展が見られず、真相はまったく解明されないままです。
続報:元職員の男を逮捕。5人全員の死に関与
平成31年2月3日、元職員が逮捕されました。
殺人容疑ではなく、入所者1名への傷害容疑ですが、5人全員の死亡にも関与しているとみているようです。
「介護老人施設の入所者死傷、元職員の男を逮捕」読売新聞ニュース
岐阜県高山市の介護老人保健施設「それいゆ」で2017年夏に入所者5人が相次いで死傷した事件で、県警は3日、当時の同施設の介護職員で名古屋市南区、会社員小鳥(おどり)剛(たけし)容疑者(33)を入所者1人に対する傷害容疑で逮捕した。小鳥容疑者が唯一、5人全員の介護に関与していたとされ、県警はほかの入所者が死傷した経緯についても慎重に調べている。
「介護老人施設の入所者死傷、元職員の男を逮捕」読売新聞ニュース
県警は容疑を特定せずに特別捜査本部を設置し、介護記録や防犯カメラ映像を分析し、職員たちを任意で事情聴取。当時91歳の女性に異変が起きた時間帯に介護に携わっていた職員を絞り込んだ結果、小鳥容疑者が意図的に暴行を加えた疑いが強まったという。
小鳥容疑者は事件発覚直後、施設側から「他の職員が動揺しているので、離れてもらえないか」と求められ、同年8月17日付で「本当は辞めたくないけれど、辞めます」と言い残して退職した。その直後の読売新聞の取材に対し、「関わっていない」と関与を否定していた。
以前から噂されていた元職員の逮捕ですが、一昨年の7月末に事件が起こってから、なぜこれだけの時間がかかったのか。
非常に不可解な印象です。
また続報については改めて紹介したいと思います。
※容疑者逮捕を受けて、続報の記事を掲載しました。
最近のコメント