悔しくないのか、ケアマネ?ケアプラン自己負担は本当にケアマネジメントの公平・中立性のために必要なのか?

介護のペーパーワーク

ケアマネ自己負担導入、公平中立ってなんだ?

ケアプラン作成費に利用者負担を導入すべきか―介護保険部会

 介護支援専門員(ケアマネジャー)によるケアプラン作成などのケアマネジメント費用に利用者負担を導入すべきか―。

 23日に開かれた社会保障審議会・介護保険部会では、この点について激論が交わされました。

 「利用者負担の導入で、家族の意向によるプラン変更が助長されてしまう」「介護保険利用を阻害する」として慎重な検討を求める意見と、「専門的な視点で家族を説得するのが専門家の役割である」「ケアマネジメントの費用が保険から支払われていることを利用者・家族にも知ってもらう必要がある」として導入を求める意見とが拮抗している状況です。来年(2017年)に予定される介護保険制度改正に向けて、今後も議論が重ねられる見込みです。

 まず、介護現場に携わる立場の委員は、比較的自己負担導入に慎重なようです。

▽介護保険の入り口を狭める自己負担導入には反対である(鷲見よしみ委員:日本介護支援専門員協会会長、伊藤彰久委員:日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉局長)

▽所得に応じた自己負担割合の引き上げや補足給付の見直しなど、「自己負担増」が議論されている。そうした中で、今、ケアマネジメントの自己負担導入を議論するべきではない(陶山浩三委員:UAゼンセン日本介護クラフトユニオン会長、石本淳也委員:日本介護福祉士会会長)

▽現在でもケアマネジャーが作成したケアプランについて、家族の意向による「変更」が少なからずある。利用者負担を導入すればこれが促進・助長されてしまい、ケアマネジメントの質が下がる危険がある(東憲太郎委員:全国老人保健施設協会会長)

 これに対し学識者や費用負担者側は、次のような理由を上げて導入に積極的な立場を明確にしています。

▽小規模多機能型居宅介護などではケアマネジメント費用も介護報酬に含まれ、自己負担も発生している。利用者や家族は「ケアマネジメント費用を誰が負担しているのか」を知らない。ケアマネジメントの質を担保するためにも利用者負担を導入すべきである(栃本一三郎委員:上智大学総合人間科学部教授)

公平・中立なケアマネジメントを確保するためには利用者負担を導入すべき。その際、セルフプラン(ケアマネによらず利用者・家族が作成するケアプラン)は廃止する方向で検討すべきである(佐野雅宏委員:健康保険組合連合会副会長)

自己負担の導入によりケアマネジメントをよりよくしていくべきである。まず「要支援者は400円、要介護者は1000円」といった定額負担から導入してみてはどうか。その際、「自己負担を支払っているので言うことを聞け」と言ってくる利用者への対策も考える必要がある(桝田和平委員:全国老人福祉施設協議会介護保険事業等経営委員会委員長)

ケアプランの標準化を進め、公平・中立を確保するなど、よりケアマネジメントの質を上げる必要があるが、不十分なままである。これを打開するためにも自己負担を導入すべきである。「言うことを聞け」という利用者・家族の声を断れるケアマネジャーが必要である(土居丈朗委員:慶應義塾大学経済学部教授)

▽利用者・家族が不当な要望をしてきた場合、弁護士のように、専門的な視点で説得するのがプロフェッショナルであるケアマネジャーには求められる(岩村正彦部会長代理:東京大学大学院法学政治学研究科教授)

 このように現時点でも「ケアマネジメントへの自己負担導入」には賛否両論があります。厚労省老健局振興課の三浦明課長は、「賛否が同数であったのではないか。両者の意見をしっかり分析して、対応を検討したい」と述べるにとどめています。来年(2017年)に予定される介護保険制度改正に向け、引き続きこのテーマが議題に登るのかも含めて、今後の介護保険部会の議論に注目する必要があります。

介護保険部会ではケアマネジメントの自己負担についての議論がされていますが、
賛成派の意見としては、一貫して「公平中立なケアマネジメントのために必要」ということですが、
自己負担が設定されたからといって本当に公平・中立なケアマネジメントが実現すると思っているのでしょうか。
独立型の居宅介護支援事業所も公平中立性なケアマネジメントができていないということなんでしょうか。

特定事業所集中減算なども設定されている今、公平・中立性を保って業務を行っているという主張ももちろん、
地域包括ケア体制の中でワンストップサービスが求められる局面も多くなることも含めて考えてもらいたいと思います。

じゃあ、自己負担のない生活保護の方へのサービス提供などは、すべて専門性のない不適切なサービスだといえるのでしょうか。

この公平・中立性というまったく中身のない論点で自己負担を導入させられるというのはまったくもって納得がいきません。
そして、このケアプラン自己負担導入に賛成を唱えるケアマネも多数いるようですが、
これはただ自分たちのケアマネジメントが公平中立でないと認めているだけではないでしょうか。

悔しくないのか、ケアマネ。
それでいいのか、ケアマネ。

このケアプラン自己負担問題を整理してみましたのでご確認ください。

記事編集・監修

 

介護福祉ウェブ制作ウェルコネクト

居宅介護支援事業所管理者・地域包括支援センター職員・障碍者施設相談員など相談業務を行う。

現在はキャリアを生かした介護に関するライティングや介護業界に特化したウェブ制作業を行う。