「介護離職は経済に打撃」 首相に強い危機感
安倍晋三首相が24日の記者会見で表明した介護施設の整備や介護人材の育成は、超高齢社会の到来に備え、家族による在宅介護の負担を軽減しなければ、現役世代の「介護離職」につながり「国の経済は大きな打撃を受ける」との危機感が背景にある。
厚生労働省によると、介護施設のうち特別養護老人ホーム(特養)の利用者は全国で約54万人(平成26年度)。これに対し、入所待機者は約52万人。うち一人で身の回りの世話ができず、自宅で待機している「要介護3」以上は15万人も存在する。
厚労省は4月から介護の必要性が高い人に特化するため、特養の入所条件を原則「要介護1以上」から「要介護3以上」に引き上げた。介護度の軽い人は在宅介護を促す一方、「中重度の要介護の人は介護福祉士ら専門家が充実している施設に誘導する」(幹部)狙い。首相としてもアベノミクスの新たな「三本の矢」の実現には、入所待機者を抱える家族の介護負担の軽減が欠かせないという意識が強い。
実際、介護離職は年10万人に上り、40代から50代の働き盛りが少なくない。厚労省は介護離職を食い止めるため、介護を必要とする家族1人当たり原則1回しか取得できなかった介護休業を、分割取得できるよう法改正を検討している。一方、介護職の人材不足も深刻で、施設を増やしても働き手が確保できなければ、十分な介助ができない懸念がある。
これまで、中重度になっても在宅で生活ができるようにと、
在宅の限界値を引き上げる方針がとられてきましたが、
「中重度の要介護の人は介護福祉士ら専門家が充実している施設に誘導する」ということであれば、
この方針が転換することになりそうです。
施設を増やすことで要介護3以上の入所待機高齢者を減らしていくということでしょうが、
それではその働き手はどうするのか。
箱を増やせば高齢者を「収容」できるとでも思っているのでしょうか。
新設される特養でも職員の確保が十分にできず、予定するベッド数を稼働できない状況もあります。
介護という仕事に職業として魅力を感じてもらえるような処遇改善につながる介護報酬などが必要なのですが。
また、高齢化のピークを越えたあとの施設の役割をどうとらえていくべきかも議論すべきですよね。
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