介護施設送迎車の交通事故相次ぐ ことし10人死亡
急速に進む高齢化のなか、介護施設を利用する高齢者などのために運転される送迎車の交通事故について、NHKが全国の警察に取材したところ、ことしに入って少なくとも120件以上の事故が起き、10人が死亡していたことが分かりました。死亡事故はいずれも専門の運転手ではなく、介護施設の職員が送迎車を運転中に発生したということで、専門家は対策の必要性を指摘しています。
厚生労働省によりますと、デイサービスを利用する高齢者は全国で年々増加し、昨年度はおよそ185万人に上っています。
デイサービスなどを行う施設の多くは、自力で通うことが難しい利用者のために車で送り迎えを行っていて、送迎中の事故が各地で起きています。NHKが全国の警察に取材したところ、ことし1月から先月までの半年間で介護施設の送迎車が関係した事故は、確認できただけで122件起きていたことが分かりました。
また、ことしに入ってからの死亡事故は、山形県や東京都、大阪府などで8件発生し、送迎中の高齢者など10人が死亡しました。8件の死亡事故について警察や施設などに取材したところ、送迎車を運転していたのは、専門の運転手ではなく、いずれも介護などを担当する施設の職員だったことも分かりました。
以前から問題視されていましたが、デイサービスの送迎での事故が頻発しています。
今回取り上げられた死亡事故についてはいずれも介護職員の運転によるものだったということでした。
運転が得意ではない介護職員がハイエースやキャラバンなどの大きな送迎車を運転することは
普通免許でも法律上は問題ありません。
ただ、介護の労働・特にデイサービスであれば入浴の介助など体力を大きく消耗する業務も課せられます。
さらに、運転中には同乗している利用者の状態にも配慮をしなければいけません(大抵はもう一名同乗者はいると思いますが)。
運転技術の問題、体力の消耗、利用者の状態確認、このような状況の中で
利用者の人命を預かる運転を行うというのはかなり過酷な業務でもあります。
デイサービスでは運転を行うパート職員の姿が目立つようになりました。
もともと運転を得意としていた退職後の男性が活躍をしています。
退職したばかりの男性が社会参加をする絶好の機会でもあるわけですから、
シニアを運転などの業務で雇用した事業所にはインセンティブが与えられたりする仕組みがあってもいいのではないでしょうか。
それぞれ地域包括ケアの一翼を担う人材として、
運転を専門にする人、介護を専門にする人がそれぞれに能力を発揮できるような環境を
つくっていかなければいけません。
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