鹿島署、胃ろうカテーテル抜く傷害容疑で介護士逮捕
嬉野市塩田町の養護老人ホーム「済昭園」で寝たきりの入所者から故意に医療器具を取り外したとして、鹿島署は13日、傷害の疑いで、施設に勤務する介護士藤武奈緒美容疑者(29)=鹿島市納富分=を逮捕した。
逮捕容疑は、昨年12月25日午後1時40分ごろ、同施設の個室で、寝ていた90代男性の腹部に挿入されていた胃ろうカテーテル(長さ約7センチ)を抜き出し、胃の粘膜を傷つけ2週間のけがを負わせた疑い。「事実ではない」と否認しているという。
同署などによると、藤武容疑者の退室から数十分後に入室した別の職員が外れているのを見つけた。昨年11月上旬以降、男性のカテーテルが外れていることが十数回続いたため、施設側は室内に監視カメラを設置し、職員による定期的な見回りをしていた。
今年2月下旬に藤武容疑者の関与を確認し自宅待機とし、3月上旬に同署に通報した。
藤武容疑者は昨年6月から施設に勤務。食事介助や体を拭くなど介護全般を担当していた。小佐々徹正施設長は「職員に虐待防止への指導が行き届いていなかった。再発防止策を徹底したい」と話した。
職員が利用者の胃瘻を故意に抜いていたということですが、これが十数回。
ご利用者様も苦痛を感じていたと思われます。
この胃瘻を故意に抜くという行為にどういった意図があったのでしょう。
トラブルにより特定の職員の負担を増やすことを目的としていたのか、
経口摂取をさせたいという独善的な行動だったのか、
いずれにしろ、許される行為でないことは事実です。
胃瘻に対して否定的な考えを持つ方も多いことは確かに事実です。
だからといって利用者の体をみだりに傷つける権利などどこにもありません。
追記
先日、この介護職員の無罪が確定しました。
介護職員の無罪確定 嬉野、胃ろう管引き抜き
嬉野市塩田町の養護老人ホーム「済昭園」で2014年末、入所者の胃ろう用カテーテル(管)を引き抜いて粘膜を傷つけたとして、傷害罪に問われた介護職員藤武奈緒美さん(32)=鹿島市=を無罪とした一審佐賀地裁判決に対し、佐賀地検は25日、控訴しないことを決めた。26日午前0時で無罪が確定する。
藤武さんは15年5月に鹿島署に逮捕され、保釈まで約10カ月、身柄を拘束された。裁判は長期化し、判決までに2年半かかった。藤武さんは「今日までとても長くつらかったけれど、私がやっていないということが裁判で明らかになり、本当によかった」というコメントを出した。
弁護側は公判で、自然に抜けた可能性などを主張した。25日の会見では、ホーム側が設置した防犯カメラの映像と、藤武さんの動作でカテーテルが抜けるとした担当医の見解が捜査機関の主張の軸になったと振り返り、担当医以外の医師に意見を求めることや十分な画像解析を怠ったと指摘した。その上で「思い込みからえん罪は生まれる。もっと多面的に検証できたのに、慎重な捜査に欠け、視野を狭めてしまった」と述べた。
勤務先の嬉野市塩田町の養護老人ホーム「済昭園」で2014年12月、入所していた当時95歳の男性の胃ろう用カテーテル(管)をわざと引き抜いて粘膜を傷つけたとして、傷害罪に問われた介護職員藤武奈緒美被告(32)=鹿島市=の判決で、佐賀地裁は11日、「故意に引き抜いたとするには合理的な疑いが残る」として無罪(求刑懲役1年)を言い渡した。
検察は、ホーム側が設置していたビデオ映像などから、被告が男性の腹部付近で左手を引いた際に「ぽん」と何かが抜ける音がしたのを根拠に「カテーテルを引き抜く暴行を加えたとしか考えられない」と強調。弁護側は自然に抜けた可能性などを主張していた。
吉井広幸裁判官は判決理由で「体全体で引かないと、手首や肘だけの力では抜けない」とする医師の証言を引用し、相当な力が必要とした上で「殊更に力を込めている様子はうかがわれない」「カテーテルが抜けた際の音と断定するには無理がある」と述べた。
また、14年11月4日から犯行があったとされる12月25日までの間、男性のカテーテルが抜けた事例は確認できただけで14回あり、男性自身が抜いたと疑われるケースや、被告がいなかった時に起きたものも含まれていると指摘した。
藤武被告は15年5月の逮捕時から一貫して否認していた。無罪判決を受け、弁護人は「無罪判決が出るまで2年半かかった。早く裁判から解放してほしい」と控訴断念を求めた。
佐賀地検の大山輝幸次席検事は「判決文を詳細に検討し、上級庁とも協議の上、適切に対応したい」とのコメントを出した。
この記事を見ると、いかに杜撰な捜査であったのかがわかります。
また、自己抜去で起きたと思われるようなケースがあったのであれば、なぜそれを検証しなかったのか。
そもそも自己抜去や自然に抜ける可能性よりも、故意に行うことのほうがよっぽど不自然な行為です。
ヒヤリハットや事故報告と検証をしていれば、このような事態にはならなかったはずです。
真相については不可解な部分が数多く残っていますが、
結局、施設や介護職への不信感を強めるだけで、誰も何も得ることがなかった事件といえます。
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