介護報酬の個別サービス改定案提示 在宅支援手厚く、特養は軒並み引き下げ
厚生労働省は6日、平成27年度から3年間、介護サービスを提供する事業者に支払う介護報酬の改定案をまとめ、社会保障審議会介護給付費分科会に示した。高齢化の進展で施設による受け入れには限界があることを踏まえ、介護の中心を住み慣れた自宅に誘導するため、介護の必要度が高い要介護者や認知症高齢者の在宅支援に重点配分した。
介護報酬は3年に1度改定する。政府は27年度改定で、膨らみ続ける介護費の抑制を目指し、報酬全体で9年ぶりに2・27%の引き下げを決めた。これを受け、個別のサービス報酬を示した改定案は、在宅支援を手厚くする一方、利益率が高水準の特別養護老人ホーム(特養)などに支払う基本報酬を軒並み引き下げた。
在宅支援では、通いを中心に宿泊などを組み合わせる小規模多機能型居宅介護について、高齢者宅への訪問サービスを充実させた場合を想定し、「訪問体制強化加算」を新設する。高齢者の家族が仕事と介護の両立ができるよう、受け入れ時間を延長した場合の「延長加算」も設ける。
通所介護(デイサービス)でも、認知症高齢者や要介護度3以上の高齢者を積極的に受け入れている事業所に報酬を加算する。リハビリテーション専門職を配置するなどした介護老人保健施設(老健)にも報酬を手厚くし、入所者の在宅復帰を後押しする。老健や特養で、終末期の「みとり」ケアに取り組む態勢整備も評価し、報酬を高くする。
報酬見直しでは基本報酬引き下げに加え、有料老人ホームなど集合住宅での訪問サービスに関しても、事業所が集合住宅と同じ敷地内や隣接しているケースでは、移動コストが低く済むことから、報酬を10%減額する。通所介護で利用者の送迎を実施しない場合も減額する。
一方、深刻化する介護職の人手不足を解消するため、労働環境の改善などに取り組む事業所を対象に、1人当たり平均月額1万2千円の処遇改善加算を設けた。介護福祉士を6割以上配置している老健や特養などにも報酬を加算した。
単価の速報はシルバー新報のサイト上に掲載されています。
それぞれのサービスごとの情報を整理して紹介していきたいと思います。
まずは居宅介護支援・ケアマネジメントに関してです。
①認知症加算及び独居高齢者加算の基本報酬への包括化
認知症加算 150単位 ⇒ 基本報酬へ包括化
独居高齢者加算 150単位 ⇒ 基本報酬へ包括化居宅介護支援(Ⅰ)
要介護1又は要介護2 1,005単位 ⇒ 1,042単位
要介護3、要介護4又は要介護5 1,306単位 ⇒ 1,353単位居宅介護支援(Ⅱ)
要介護1又は要介護2 502単位 ⇒ 521単位
要介護3、要介護4又は要介護5 653単位 ⇒ 677単位②正当な理由のない特定の事業所への偏りに対する対応強化
特定事業所集中減算 ▲200単位 (変更なし)
予告されていた通り、認知症加算と独居加算が廃止され、包括化、として基本単位数が若干上がっています。
要介護1・2で37単位、要介護3・4・5で47単位の増額。
事業所にもよるかもしれませんが、大幅な報酬アップとは言い難いところではあります。
それと、集中減算がサービス種別を問わなくなったということ、
特定事業所加算が(Ⅰ)と(Ⅱ)だったのが3段階に分かれたということ、
個別計画をサービス事業所から求めることになったことと、
地域ケア会議での情報共有。
これらはすでに方向性が示されていたことなので驚きはありません。
意外なのは、こちら。
④介護予防支援に係る新総合事業の導入に伴う基本報酬の見直し
介護予防支援費(1月につき) 414単位 ⇒ 430単位
予防を敬遠するケアマネが多い中で、報酬を若干でも上乗せしたということは、
地域包括支援センターの業務をできるだけ要支援のケアマネジメントから切り離していきたいというねらいもあるのかもしれませんね。
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