介護報酬引き下げへ サービス低下懸念も
政府は十七日、介護保険サービスの「公定価格」である介護報酬を二〇一五年度の改定で引き下げる方針を固めた。改定は原則三年ごとに実施され、引き下げられれば九年ぶり。財務省は引き下げ幅を4%台とするよう求め、1%程度に抑えたい厚生労働省との間で調整が進められている。引き下げで介護事業者によっては減収になるが、人手不足が深刻化する介護職員の処遇改善に必要な報酬は確保する。年明けの予算編成で最終決定する。
介護報酬の改定は、利益を上げている介護事業があることを理由に引き下げを求める財務省と、介護サービスの充実を求めて引き上げを主張する厚労省との間で調整が続いてきた。
厚労省は、利益率が高い特別養護老人ホームなどの報酬引き下げはやむを得ないと判断。増え続ける社会保障費を抑える必要からも引き下げを認める。ただ、大幅な引き下げは、介護サービスの低下につながるとして、下げ幅は最小限に抑えたい考えだ。
介護職員の賃金は、一人月一万円程度の引き上げが可能となるよう財源を確保する。処遇改善は一二年に自民、公明、民主三党でまとめた「社会保障と税の一体改革」に盛り込まれている。安倍晋三首相は消費税の10%への再増税を見送っても、一五年度から予定通りに実施すると表明した。
介護報酬は介護事業者に介護保険から支払われる費用の公定価格。年間に支払う総額が原則三年ごとに改定され、今回は一五~一七年度分を決める。本年度の介護保険の総費用は十兆円で、報酬を1%引き下げれば一千億円の費用が浮く。財源である税金や保険料、利用者の負担分が減るが、介護事業者も減収となり、人員削減など介護サービスが低下する懸念がある。
まぁ、こうなることはわかっていましたが。
それでも今回の総選挙で(低投票率とはいえ)自民党が圧勝していることは事実なのですから、
政府としては信任を得たとして胸を張って報酬の引き下げに取り掛かれるというものです。
財務省が最初にマイナス6%をぶちあげておいて、厚労省との間で調整して最終的には3%前後で落ち着くという、
なんとも出来レースじみた報道にいちいち振り回されているわけです。
介護職員の処遇を改善します、と宣言していますが、
大幅な介護報酬減の中で、ごくごくわずかに処遇改善という名前の加算を残すことで公約が達成されてしまうのですから。
どこまで国民を馬鹿にした政策を続けていくつもりなんでしょう。
消費税の増税は社会保障のための財源にあてるといいながら、メリハリをつけた給付のメリの部分ばかりしか見えてこない。
マイナス3%と聞いて、それくらいなら大丈夫かな、と考えている介護関係者がいたら
一度認識を改めるように伝えておきましょう。
2009年以降の報酬改定は、実はプラス改定続きだったのですが、
それでも事業者の経営は厳しくなるばかりだったこと。
さらに2003年のマイナス改定ですら、-2.3%にしか過ぎなかったことを考えれば、
どれほどの打撃になるかは想像がつくのではないでしょうか。
事業者は覚悟を決めて、生き残りのために何ができるのか、できるだけ早く形にしていくことが必要ですね。
最近のコメント