現在、まだ開票中ですが、
誰もが予想した通り自民党の圧勝ということで、
介護福祉業界にどのような影響があるのか、
今一度、自民党の公約を確認しておきましょう。
○看護職の処遇改善の推進
看護職の不足対策を推進し、看護職が働き続けられるよう労働環境を充実し、処遇を改善します。在宅医療・介護の充実の必要性を鑑み、介護保険施設や訪問看護に従事する看護職を確保し処遇を改善します。
○財政の安定化を図り、介護保険サービスの充実と保険料の抑制
高齢化の進展により、増大が予想される介護保険料の上昇を抑制します。そのために、介護保険の保険給付の対象となる介護サービスの範囲の適正化等による介護サービスの効率化、重点化を図るとともに、公費負担の増加などを行い、持続可能な介護保険制度を堅持します。あわせて必要な介護報酬の確保等により介護従事者の一層の処遇改善等を図り、質が高く、必要な介護が行われ得る体制を整備します。
住民や自治体のニーズに応え、間仕切り等の工夫によってプライバシーの保護に配慮した上で、高齢者が適正な負担で必要な介護を受けられるよう、「多床室特養」の整備を進めます。
○介護支援専門員の積極的活用
居宅介護支援事業所の経営の独立性・中立性の推進を図るとともに、特養・老健などの「介護保険施設」において介護支援専門員の専従化を進め、自立支援や在宅復帰に向けた施設機能の強化と活性化を図り、高品質な介護サービスを提供できるシステムをつくります。また、それらを促進するため、社会保障制度において重責を担う介護支援専門員の国家資格化を目指します。居宅介護支援費に関しては、誰でも公平にケアマネジメントが受けられるように、介護保険制度で全額を賄う現行制度を堅持します。
特に注目したいのがこの3項目かなと思っています。
やはり社会保障費を削減し、財政の安定化を図ることを重視していて、
効率化・重点化・適正化といったキーワードをここまで前面に押し出しているので、
削るところは削りますよというのが印象です。
その象徴的な内容が、多床室特養の整備で、
間仕切りをすればプライバシーも尊厳も守られるみたいな考え方については、
おそらくユニットで働いている方々からは疑問の声もあるでしょう。
ここまでユニットを推進してきたわけですからね。
他にも訪問介護での生活援助や、軽度者向けの福祉用具(杖や歩行器)レンタルなどでも、
適正化として削られていく可能性としては高いので覚悟が必要かもしれませんね。
それと介護支援専門員の国家資格化というのがあげられていますが、
じゃあ、国家資格になったら、現職のケアマネジャーがみな国家資格として
働けるのかというと、おそらくそうはならないかなと思っています。
今年の8月、一般社団法人日本介護支援専門員協会会長木村隆次氏が、
「介護支援専門員の資質向上と今後のあり方に関する検討会」の中で、
ケアマネの国家資格化について提案をしているのですが、
おそらくそれがもとになっているものと考えられます。
ここでいう国家資格としてのケアマネジャーは現行のケアマネとは別物で、
現行のケアマネジャーも国家試験に合格することが必要となります。
また、今後ケアマネを目指す人は、資格を取得するには
大学での養成課程を終えることが条件となります。
質の低いと言われてきたケアマネをバッサリ切り捨てるという感じでしょうか。
そんな変化を期待したのかどうかわかりませんが、自民党政権がやってきます。
もっとやっかいなのは、憲法改正です。
ご存じのとおり、自民党の憲法改革案では基本的人権における天賦人権説は真っ向から否定されています。
自民党の改正案ではこう書かれています。
この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力により、
保持されなければならない。国民は、これを濫用してはならず、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、
常に公益及び公の秩序に反してはならない。
まず、権利には責任や義務が伴うと言いますが、
納税であったり勤労といった責任や義務を果たせない人のもつ基本的人権というものは
いったいどこに根拠を求めたらいいのか。
公益や公の秩序を優先するということは、
つまり、はじめに国家があって、国民があるという考え方です。
こんな考え方がまかり通る社会なら、
介護福祉や人権擁護って仕事に誰も誇りを持てなくなりますよ。
それ以上に納得がいかないのが投票率の低さです。
どこに投票したって同じなんて言う人もいますが、
今回の選挙で、正直、国民はコケにされたと思っています。
こんな憲法改正案を示しても大勝できることを確信していて、事実そうなっているのですから。
選挙速報では追い風だの逆風だの、
吹けば飛ぶような選択しかできないのか?
別に今まではそれでよかったのかもしれない。
だって、自民でも民主でも国の形は大して変わらない。
でも、今回はそうじゃなくて、憲法を変えようとしているわけですから。
憲法改正には国民投票があるので、
憲法改正案が発議されて国民投票にかけられた日にはちゃんと投票に行きましょう。
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