要介護、3県沿岸1.2万人増 仮設長期化、体調崩す
東日本大震災の津波や福島第1原発事故で被害を受けた岩手、宮城、福島3県の42市町村で、要介護認定を受けている人が昨年5月末~ことし3月末の10カ月間に1万2140人(12.7%)増えたことが、厚生労働省や各自治体への取材で分かった。避難所や狭い仮設住宅での暮らしが長期化し、体調を崩したことなどが要因とみられる。被災した介護入所施設の再建は半数にとどまり、介護サービスが行き届かない事態が懸念される。
◎入所施設再建、半数止まり
<3.7倍に急増>
岩手は沿岸12、宮城は沿岸15、福島は沿岸に原発事故避難地域も含む15市町村が対象。3県別の認定者数と増加が目立つ主な自治体は表の通り。
認定者数は震災前の昨年2月末(一部は1月末)に10万1400人いたが、震災による死亡や転出で昨年5月末に9万5327人に減った。その後急増し、ことし3月末時点で10万7467人。昨年5月から10カ月で12.7%増え、震災直前と比べても6.0%増だった。10カ月の増加幅は1年前の同じ期間と比較すると3.7倍に上った。
震災前の年間増加率は多くの自治体で年2~5%程度。急増理由について自治体担当者は(1)震災後の避難生活で体調を崩した(2)狭い仮設住宅に閉じこもりがちで足腰が弱った(3)家族の介護力が落ちた-などを挙げる。
<対応できず>
認定者数が10%以上増えた自治体は24市町村(岩手4、宮城12、福島8)。宮城県女川町や石巻市、福島県富岡町など5自治体が40%超の増加。
富岡町は「高齢者を介護してきた家族や地域住民が原発事故後に分散し、カバーできなくなったため、認定が増えた」と話す。
「軽度認定者」が各地で増える傾向があり、高寿園デイサービスセンター(陸前高田市)は震災後に新規利用者が50人以上増えた。約半数が要支援のお年寄りで、嶋村明子生活相談員(48)は「仮設住宅に暮らして周囲と交流せず、閉じこもっているような人を巡回員らが発見するケースがある」と語る。
一方で、介護施設の復旧は滞っている。3県によると、震災や原発事故の影響で受け入れを休止した介護入所施設は計76カ所。再開できたのは56.6%の43カ所で、厚労省は稼働する施設に入所者の定員超過を認める特例措置を取っている。
宮城県女川町ではデイサービス施設3カ所のうち2カ所が休止中。町健康福祉課は「共働きの増加などで日中みてもらえるデイサービスのニーズは高いが、十分対応できていない」と訴える。
被災地では、
ある人は慣れ親しんだ生活環境を失い、
ある人は家族・親族や近隣による介護力を失い、
ある人は精神的なショックから癒えずに、
介護認定の認定者数の増加という形に表れています。
それを支える社会の力が必要ですが、
再建の進まない施設、介護の担い手の不足などのため、
状態は改善する兆しを見せません。
定員超過を認める特例措置を設けたとしても、
それは介護職員に過度な負担を求めるものでもあり、
対策と言うよりも、対策を講じることができていないことの表れでもあります。
ナショナルミニマムであるはずの介護保険サービスが被災地だけ
そのままでいいわけがありません。
事業再開のための支援や、事業者参入への支援などを期待したいですね。
最近のコメント