特養評価基準、要介護度“改善”を追加(滋賀)
六月県議会は二十八日、本会議を再開し、七議員が一般質問した。県は、特別養護老人ホームの自己評価基準に、お年寄りの要介護度をどう改善したかを評価する項目を設ける方針を示した。改善した因果関係を明らかにし、これらの成果をほかの施設でも共有することで、県全体の介護給付費の削減を目指す。
県によると、県内七十四の特別養護老人ホームで、昨年一月からの一年間で要介護度が悪くなった利用者は、全体約四千七百人のうち七百三十一人に上る半面、要介護度が改善したのは二百八十三人だった。
各施設の定員に対する割合では、要介護度が三割以上上昇したのは二施設、二割以上が二十三施設。一方で二割改善したのは一施設、一割改善したのは十六施設あった。
大野和三郎議員が介護保険の財政負担増が見込まれる状況を訴え、要介護度を下げる取り組みに注目する必要性をただし、渡辺光春健康福祉部長は「優れた取り組みを取り入れ、普及させていきたい」と述べた。
大野議員は各市町の介護保険事業の広域化も提案。渡辺部長は「有効な方策」と答え、市町の意見を聞き、広域化を含めた介護保険の諸課題を議論する研究会を設ける考えを示した。
ご存じのとおり、特養が受ける介護報酬は入居者の要介護度によって決まります。
要介護度が重い人ほど、収入が増えるわけですから、
語弊を恐れずにあえて乱暴な言い方をすると、特養側としては、
手がかからないけれど要介護度が重い人というケースが一番都合がいいということになります。
(手がかからないをどうとらえるかはまた別問題として)
なので、状態が変わらなければ、要介護度は重い方がいい。
けれど、普通に考えて、特養にはいることで、
毎日の生活には常に見守りがいて、健康管理もできて、リスクも少ない。
会話をする相手にも不自由しなくなる場合が多く、生活のリズムも安定します。
それなのに、特養入居後に状態が改善して要支援の認定を受けるなどして
在宅復帰をするという人が少ないのは、こういったシステムにも問題があるのではないでしょうか。
実際に一度特養での生活に慣れてしまった人が
在宅でもう一度生活を再構築できるかというと、
そこには障害が多いので確かに難しいかと思いますが、
要介護度が改善するということが、特養にはまったく何のメリットももたらさないというのは
ある意味不思議なことです。
要介護度改善に伴う加算などで、職員のモチベーションを上げることもできるのではないでしょうか。
いいケアをしている特養は経営が苦しくなる、という仕組みを
根本から一度見直していくことも必要ではないでしょうか。
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