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不人気?な定期巡回随時対応型訪問介護看護
24時間サービスのモデル事業“定員割れ”- 厚労省、近く追加募集へ
来年度の創設が予定されている「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」の在り方を検証するモデル事業(24時間対応の定期巡回・随時対応サービス事業)を実施する自治体が、43市区町にとどまっていることが分かった。「60市区町村での実施」という目標を下回る “定員割れ”状態にあることから、厚生労働省はモデル事業の実施要件の一部を緩和し、近く追加募集を始める方針だ。
モデル事業では、介護サービス事業所が定期的に巡回して利用者に短時間の訪問サービスを提供するほか、24時間365日体制で相談できる窓口を設置し、随時の対応も行う。モデル事業の実施主体となる市町村は、地域住民や有識者らを交えた検討委員会を設置し、▽利用者の要介護度や介護保険に関するニーズの変化▽事業にかかった経費や人員―などを検証した上で、厚労省あてに報告する必要がある。厚労省は60市区町村で事業を実施するための経費として、今年度予算で約12億円を計上している。
しかし、今年4月に行われた第1次募集に応募したのは26市区町。5月の第2次募集で決まった17市区と合わせても、事業を実施する自治体は43市区町と、計画の7割程度にとどまった。
24時間サービスのモデル事業への応募が低調な理由について、厚労省老健局振興課は、「市町村が検討委員会を設置し、事業内容を検証する点に負担を感じ、応募を控えているのではないか」としており、近く始める予定の追加募集では、検証作業にかかわる要件を緩和する方向で検討している。
次の介護保険の改正の目玉、地域包括ケアの要とも期待される定期巡回・随時対応型訪問介護看護のモデル事業の募集が低調です。
これだけ宣伝しているにもかかわらず、不人気なのは、自治体側もこのサービスについて懐疑的になっているんじゃないかと。
このサービスについては、事業所指定は市町村の裁量で行い、指定事業所数なども市町村で調整するのですから、市町村の責任というものも大きくなります。
実際の問題、どれだけのニーズがあるのか、そして、スタッフが確保できるのかなど、課題が山積しています。
それなのに、もうそれに対して議論を重ねていく時間すら限られているのです。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護という、そのネーミングについても、まったくセンスを感じないし、その覚えにくさといったら不親切極まりない。。。
追記:その後も定期巡回の定着は進まず
介護保険で今年4月から始まった24時間対応の定額訪問サービスについて、2012年度中の実施を見込む市町村は全体の1割強にとどまることが1日、厚生労働省の集計で分かった。サービスを提供する事業者の態勢が整っていないことなどが原因とみられる。サービスは4月の介護報酬改定の目玉だったが、利用が広がるには時間がかかりそうだ。
サービスは利用者が介護を受けながら自宅で過ごせるようにするのが狙い。ヘルパーらが緊急連絡などに対応する。厚労省が12~14年度の全国の介護保険事業計画を集計したところ、介護保険を運営する1566市町村のうち24時間訪問サービスの今年度の実施を見込む自治体は189市町村だった。1日当たりの利用者数は計6千人にとどまる見通しだ。
実施を見込む市町村の数を都道府県別にみると大阪が21、東京が20で、大都市圏に比較的多い。青森、山形、栃木、島根、宮崎、沖縄はゼロ。採算が難しいとされる人口密度の低い地域でサービスの遅れが目立つ。
日本経済新聞より
原因はいくつかあると思いますが、やはり人員を確保するのがまず難しいですよね。24時間対応での巡回サービスを導入することを考えたら、当然ですが職員は夜勤をしなきゃいけない。
今の介護保険の訪問介護サービスを担っているのは若い世代ではなく、50代・60代のおばさん(おばさま)たちです。
60代のヘルパーが全体のおよそ3割を占めています。
従来の訪問介護のスタッフが定期巡回サービスに移行できるかというと、やはり難しいんですよね。
介護報酬単価、高すぎ・・・
それに、介護報酬単価は高すぎますよね。
介護度によって介護保険のサービスを使える限度額が変わりますが、この定期巡回随時対応訪問介護看護サービスの報酬単価も介護度が上がるたびに引き上げられますので、限度額をかなり圧迫します。
要介護5で定期巡回随時対応訪問介護看護サービスをりようしたら、あと訪問入浴と福祉用具と入れたらもうあっぷあっぷですよ。
利用者もやはりそれだけ高額な定額サービスの導入には抵抗感がありますよね。
裏を返せば、定額サービス使わないのは、ケアマネがちゃんと限度額管理していて毎月限度額を超えないように調整しているという安心感があるからかもしれませんけどね。
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