特養入所者死亡 給湯装置50度に設定 通常40度 死因は熱傷性ショック
福岡県東峰村の特別養護老人ホーム「宝珠の郷(さと)」で、入所者の武内サノエさん(92)が入浴介助中に意識を失い死亡した事故で、武内さんが入浴していた特殊浴槽の給湯温度調節装置が高温の約50度に設定されていたことが29日、県警の調べで分かった。通常は40度前後に設定していたといい、県警は湯温の確認を怠って入浴させたのが事故の原因とみて、業務上過失致死の疑いで調べている。
司法解剖の結果、武内さんの死因は、全身の8割に及んだやけどによる熱傷性ショックと分かった。武内さんは寝たきりで、ストレッチャーに乗ったまま職員の介助で入浴していた。
県警や施設によると、特殊浴槽の温度調節装置は浴槽の外側にあり、最高60度まで設定できるダイヤル式。28日午前10時半ごろ、武内さんが浴槽でぐったりしているのに職員が気付き、通報で駆け付けた救急隊員が温度計で測定したところ湯温は52度だった。県警の捜査員も設定が約50度になっていたことを確認したという。
事故をめぐっては、武内さんをストレッチャーで運び、お湯を張った女性職員(57)が他の入浴者を世話するために約2分間、目を離していたことや、入浴を介助していた4人の職員全員が湯加減や温度の設定を確認していなかったことが分かっており、県警は当時の詳しい状況について職員から事情を聴いている。
どういった原因が考えられるか、想像してみようと思います。
まず、50度のお湯を最初から入れていたとしても、
浴槽内の温度が52度に上がるわけがない。
給湯のダイヤルかボイラーが故障していた、にしても、
50度以上のお湯を給湯するというケースはなかなか想像しえない。
よほど浴槽内の温度が下がっていたとしたら急いで浴槽の温度を上げようとして熱湯を入れるということはあるのでしょうが、
でもぬるくなっていたお湯から全身大火傷に至るような熱湯になるまでには相当の時間がかかるでしょう。
どんな状況だったらこんな事故が起こるのか。
ただ、間違いなく言えることは、利用者から目を離していたということと、湯温を確認していなかったこと。
入浴介助は職員複数対利用者複数で行われるのが一般的になっています。
かえってこれが非効率で、職員と利用者が一対一で介助する方がリスクが少ないという指摘も多く聞かれるようになってきました。
責任の所在をはっきりさせることも大事なことですね。
そして、お湯の温度に関してですが、
機械浴槽では、給湯温度は表示できても、浴槽内の温度を表示できないものがあります。
当然、温度計などを浴槽内に入れて温度を確認することもできるのですが、
それを省いてしまうところも多いと思います。
こういったケースが続発するとなると、機械浴の安全基準が見直され、
浴槽内の温度が一定の温度を超えた場合にアラームが鳴るとか、
何らかの安全対策の措置が必要になるのかもしれませんね。
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