介護業者に賠償命令 食事中窒息「注意怠る」
重度の身体障害のあった次男=当時(15)=が夕食をのどに詰まらせて死亡したのは、食事を手助けしたヘルパーが注意を怠ったためだとして、愛知県一宮市の両親が市内の介護業者などに総額6000万円の損害賠償を求めた訴訟で、名古屋地裁一宮支部は24日、業者側に計約2000万円の支払いを命じた。
鬼頭清貴裁判長は判決理由で「ヘルパーが次男の異常を認識して連絡していれば、死亡は防げた」と指摘。ヘルパーの注意義務違反と死亡との因果関係を認めた。
判決によると、両親は2004年10月、中枢神経の障害で生まれつき自力で歩いたり食事したりすることができない次男の介護を業者に委託。05年10月24日夜、ヘルパーに夕食のロールキャベツなどを食べさせてもらった次男の様子が急変。ヘルパーは次男を残したまま、近所に外出していた両親を呼びに出たが、戻った時には次男はぐったりしており、翌日夜に窒息で死亡した。
2000万円の損害賠償をはたしてどうとらえるかということになりますが、
食事介助という場面がリスクの高いものであるということを考えると、
事業所側にとっては重い判決に感じられるかもしれません。
大きな争点となりそうなポイントを挙げてみましょう。
1.死亡した次男の食事に関して、しっかりアセスメントが行われ、それに基づいたケアがなされていたのか。
2.急変時の対応としてとったヘルパーの行動は正しいものだったのか。急変時についての家族との間に約束事があったのかどうか。
3.その20日前にも食事中にのどを詰まらせていたということから、そのヘルパーが十分な研修を受けて、食事介助や緊急時の対応(吸引は・・・?)についての技術を身に着けていたのか。
といったあたりなのかもしれませんが、
逆に、以前にものどを詰まらせていたということは、食事面でリスクの高い利用者であったことも推測されます。
事業所として、受けた依頼を断るというのは難しいわけで、リスクの高い仕事でもしなければいけない。
そして、事故が発生したときには訴訟を起こされるわけですから、
訪問介護というのは本当にリスクの高い仕事だといわざるを得ない、というのが事業者側の意見でしょうね。
もちろん、人が一人死んだということについては間違いない事実であり、
このような事故が繰り返されないことを願いたいと思います。
この利用者の食事や嚥下能力について、主治医がどのように認識していたのか、
というところも気になるところではあります。
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