高齢者介護施設内の虐待、市町村把握より10倍
介護施設の高齢者に対し、施設職員が虐待とみられる行為を行った事例が昨年度、少なくとも498件あったことが、国による施設内虐待に関する初の全国調査でわかった。
市町村が把握した虐待件数の約10倍で、暴言を吐くなどの心理的虐待や、殴るけるなどの身体的虐待が目立った。
虐待の定義や、職員の通報義務を定めた高齢者虐待防止法について、介護職員の約7割が内容を把握しておらず、同法の趣旨が徹底していない実態も明らかになった。
調査は、厚生労働省の研究事業として、「認知症介護研究・研修仙台センター」(仙台市)が中心となって今年2月に実施。全国の特別養護老人ホームと老人保健施設、計9082施設の現場責任者と介護職員に対し、虐待の定義などを調査票で示しながら、昨年4~12月の実態について回答を求めた。有効回答率は、責任者が22%、介護職員が21%だった。
この結果、判明した虐待とみられる事例は498件で、市町村が把握した昨年度の施設内虐待件数(53件)の約10倍に上った。
虐待の内容(複数回答)は、暴言を吐いたり無視したりするなどの心理的虐待が190件で最も多く、身体的虐待が131件、緊急やむを得ない場合以外に体をベッドに縛ったりする身体拘束が108件、介護・世話の放棄・放任が81件だった。
本来、虐待に対して、まず第一に柔軟かつ迅速に対応するはずの市町村。
それなのに、市町村が把握している数の10倍の数の虐待が、国の調査で明らかになったというものです。
結局、虐待の定義というものは、いまだに定着していないということです。
定義が明確化されていても、現場の職員の認識がそれにいたっていないという現実も浮き彫りにされています。
虐待を行った職員側の要因(複数回答)を介護職員に尋ねた質問では、「性格的な問題」(47%)が最多で、「虐待に関する知識や意識の不足」(43%)がそれに続いた。介護職員の3人に2人が防止法の内容を知らず、特に介護経験3年未満の職員では2割が法の存在自体も知らなかった。
さらに、施設職員には市町村への虐待の通報義務が課せられているものの、介護職員が直接通報した事例は1%強、現場責任者でも7%にとどまっていた。
虐待が市町村が報告する数の10倍も隠されていた、
なんて見出しがおどるのは、いかにもマスコミの好きそうなことなわけですが、
まずは自分のいる場所で虐待についての共通理解を図ることですね。
多くの介護職は、人を思いやったり、助けたり、そんなヒューマンな仕事がしたくて働いている方々なので、
自分がしている虐待というものを受け入れがたいという面があると思われます。
自分の施設では、自分の職場では、そして自分自身がしている行為には、虐待はない。
という思い込みを捨てることからはじめてみましょう。
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