介護職員基礎研修の現状:All About Japan
介護職員基礎研修が2007年2月後半に始まってから約5ヵ月。当初は受講生が集まらず、開講できないクラスが頻発しました。その後、受講生は増えているのか、どんな人が受けているのか。3月に取材した受講生のコメントも含めて紹介します。
介護職員基礎研修は、ガイド記事「介護職員基礎研修、早く受講すべき?」にも書きましたが、残念ながら現時点では受講による目に見える大きなメリットはありません。給与が上がる保証もないし、介護福祉士の受験の際の優遇措置も決まっていない。ただ決まっているのは、介護職員基礎研修修了資格を持っていないと、介護職として働けなくなる日がいつか来る、ということだけ。それもいつになるか、まったく未定です。
そんなことから、受講申し込みが伸び悩んでいた介護職員基礎研修ですが、「最近は受講申し込みがなくて中止になる講座はない」(三幸福祉カレッジ)とのこと。スタート当初は、実務経験1年以上でホームヘルパー1級修了者の受講が多かったのですが、今は実務経験1年以上でヘルパー2級修了者の受講が圧倒的に多いそうです。1級修了者は60時間の受講で修了できますし、開始当時は介護福祉士受験に介護職員基礎研修修了者は優遇措置があると言われていたので、受講者が多かったののではないかと思います。
なぜ受講生が増えていかないのか。
繰り返しになりますが、受講メリットが少ないことが一番の理由です。
しかし、残念ですが、受講生から「ロールプレイが多く、他の受講生の意見が聞けるのはいいが、新しい情報はない」「内容がこなれていないという印象」など、講座の内容そのものに対する不満の声も聞かれました。
わずかな時間の見学しかしていない私に断定的なことは言えませんが、確かに講義を聴いていても目新しい情報はそれほどありませんでした。これまでのヘルパー研修では網羅できていなかった新しい知識・情報や、現場に即した実践的な内容かな、と思っていたので、ちょっと意外でした。また、介護職員基礎研修は講義修了後に確認のテストやレポートが課されているはずなのに、講師に聞くと「そんなことは聞いていない」と実施していない講座もありました。
介護業界は口コミで情報が広がっていきます。
そうした受講生の失望感が受講を考えていた周囲の人たちに広まったら、なかなか受講申し込みは増えていかないだろうなと思いました。
新しい知識や技術の習得には、ぜひ積極的になっていただきたいと思います。しかし介護職員基礎研修に関して言えば、修了者のサービス提供には介護報酬に加算が付く(→雇用者が受講費用を補助する、資格手当が就くなど金銭的なメリットの可能性が出てくる)、あるいは、介護福祉士受験の際に優遇措置が取られるなど、介護職員基礎研修の位置づけがもう少しはっきりしてから受講する方がいいのではないかと、今は思っています。
All About Japanの記事に、介護職員基礎研修の現状に関するレポートが掲載されていました。
興味深い内容だったので、長々と引用させていただきましたが、もっと読みたい方はリンクをたどって読んでみてください。
自分のサイトでも書きましたが、
膨大なカリキュラムの量と、受講時間と費用。
これを自費で負担してまで介護職員基礎研修を受講したいという人が、それほどたくさんいるようには思えません。
むしろ、実務経験をつんで早いうちに介護福祉士になってしまった方が、
国家資格でもあり、今後は介護職としての基礎資格にもなるわけですから手っ取り早いし、お金も受講時間も実習も必要ないわけです。
ただ、スキルアップのためという目的でこの研修を受講している人が多いことに驚かされました。
時間や経済的な問題が大きな障害となるだろうと思われましたが、
それでも勉強のためと受講される向上心・向学心の強い介護職が多かったということは大きな発見ではないでしょうか。
そうなると、
介護職のキャリアプランというものが確立されていくことが重要ですよね。
専門介護福祉士など、介護職が未来を見据えたキャリアを積んでいくことができるような枠組ができることを切に願います。
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