看護師の海外流出、フィリピンで問題に
日本は去年9月、フィリピンとの間にEPA=経済連携協定を結びました。これが発効されますと、早ければこの春にもフィリピンから、看護師や介護福祉士が日本にやってくることになります。しかし、人材を送り出す側のフィリピンでは、新たな問題が持ち上がっています。
国内の高い失業率を背景にフィリピンの出稼ぎ労働者は増え続け、今や人口のおよそ1割が海外で働き、その仕送りはフィリピン経済を支える重要な収入源となっています。
看護師も例外ではありません。ひと月の平均給与が2万円前後という国内の病院に見切りをつけ、フィリピン人看護師の3割から4割が欧米や中東などの外国の病院で働いています。
新たに看護師を目指す若者も増えてはいますが、そのほとんどは外国行きを希望していて、人材の流出に歯止めがかかりません。
「日本や豪州、中国に行きたいです」(看護学生)
「カナダと豪州を希望します。日本は言葉が難しそうで・・・」(看護学生)
日本へも来年以降、年間200人ほどのフィリピン人看護師がやってくる見込みです。外貨収入を増やしたいフィリピン政府は、今後、日本に対し受け入れ枠を拡げるよう求める方針ですが、フィリピン国内からは看護師のさらなる流出による医療の質の低下を懸念する声が高まっています。
「海外に行くのは経験豊富な看護師ばかりなので、フィリピンの医療は危機にさらされています。外貨と引き替えにフィリピン人看護師を売るのは不公平です。我々だって質の高い医療が必要なんです」(フィリピン看護師協会・タムセー理事)
出稼ぎ労働者からの仕送りによって支えられてきたフィリピン経済は、それがもたらす「人材の空洞化」というもう1つの問題にいまだ向き合えずにいます。
フィリピンだけでなく、インドネシアなど、アジア諸国にEPAは広がるということで、
これは、アジア全体、いや、地球規模の問題ですよね。
たとえば、日本の医療・福祉の進んだ環境に触れた医療職・看護職が、
母国にその医療・福祉に関する技術・ノウハウを持ち帰るというわけでもなく、定住を考えている人が多いようです。
人材の空洞化、医療・介護は人が支えるサービスです。
支える人がいなくて、どうやって成り立っていくのでしょうか。
また、受け入れる側も、何の準備も哲学もなしに、ただ安価な労働力を求めて外国人に依存すれば、
日本の介護の質も空洞化していくのではないでしょうか。
※ 介護なんて最初から空っぽだって言われても、もっともといえばもっともで困るんですけど。
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