障害者「所得倍増」目指せ 授産施設での賃金 月平均1万5000円
障害者の就職や賃金アップを支援する動きが、知的障害者の施設を中心に進んでいる。4月施行の障害者自立支援法の効果が徐々に出ているようだ。一方、福祉サービス利用料の1割負担が導入された結果、負担増に苦しむ障害者も多い。
「自分で働いて貯金して海外旅行に行きたい」
東京都町田市の知的障害者授産施設「赤い屋根」(利用者35人)で、三浦幸子さん(31)は笑顔を見せた。
赤い屋根では、昨年まで、せっけんや木工細工などを製作販売していた。だが、毎月の賃金は平均6000円。今年1月、宮城県内の施設で月6万円の賃金を実現した実績のある豆腐の製造販売に切り替えた。
手間のかかる豆乳作りは外注にするなど、作業の効率化に努め、駅前での販売も始めた。賃金は月1万5000円に倍増し、休みがちだった利用者が、休まず通ってくるようになった。
かつて、障害者は働くことが難しいとの考え方が根強かった。だが、十数年前から、働きたいと望む障害者の声が高まり、財政難に悩む国や自治体の意向とも相まって、就労支援の動きが強まってきた。
支援法は、この流れを定着させるために作られ、施設などに一層の努力を促す仕組みが盛り込まれた。
従来、公費から1か月分まとめて施設に交付されていた報酬が、利用実績に基づく日割り計算となり、障害者が休んだ場合は交付されなくなった。この結果、利用が低調だと、収入に直接響くようになった。高い賃金や就職率を実現した施設に加算する“成果報酬”も導入された。
授産施設で働く人(全国約10万人)の賃金は、平均月1万5000円で、企業へ就職した人の割合は年間1%というのが実態だ。障害者たちは、無料の福祉の受給者として不満の声を上げず、改善への圧力が働きにくかった。
支援法では、福祉サービスの利用者に原則1割の自己負担を課し、消費者意識の向上を促した。期待通り、自分が利用するサービスに、障害者たちが厳しい目を向け始めた。
大きな負担がのしかかり、作業所は生き残りの為に利益と工賃について、
本気で考えるようになりました。
作業所が経営努力をすることで、利用者もその可能性を大きく広げることになるのです。
かといって、先に紹介したような工賃アップを実現できた作業所は少なく、
逆に、負担増による利用者減のために大きく減収するなど、経営困難に陥っています。
ここでも新たに大きな格差を生みだすという結果となりました。
これを、障害者自立支援法の効果というのは果たしていかがなものでしょうか。
最近のコメント