業務停止の介護老健施設、借金と内紛の果てに閉鎖
審査も指導も大甘…補助金5億ムダ、再生可能性低く
介護老人保健施設として、全国で初めて介護保険法に基づく業務停止命令を受けた「すずしろの郷(さと)」(東京都練馬区)が来月1日、閉鎖される。
都は経営主体の医療法人「杏稜(きょうりょう)会」についても、近く設立認可を取り消す。介護保険の導入で、経営体力も経験もない事業者が参入し、行政側もそれに目をつぶってきたという問題が背景にある。
介護保険が導入された00年4月当時は施設が足りず、行政は「負担あってサービスなし」との批判を懸念し、施設や法人の審査は甘くなりがちだった。
老人保健施設は95年に全国で1195か所だったが、昨年は3278か所と、10年間で3倍近くに増えた。異業種からの参入も相次ぎ、中には不適格業者も交じっていたが、その典型が「すずしろの郷」だった。
〈「施設の混乱に対し、都から指導できないのですか?」「都は医療法人にはできますが、現場への指導は練馬区の役割です」〉
職員のメモには、都や区に対し異常な実態を再三訴えた記録がある。都などが、形ばかりの改善指導を繰り返すうちに内紛はエスカレートした。
本来、置かなければならない常勤の医師がいないため、入居者の健康管理はおろそかになり、約1か月で10人が入院。皮膚病が発生したこともあった。負担が重くなったことに嫌気がさした看護師8人が次々に退職した。経営の逼迫(ひっぱく)で給食業者への支払いは遅れ、債権者を名乗る暴力団関係者とみられる人物も出入りするようになった。
これ、詳しくは記事を全文読んでみてください。
よくもこんな状況になるまで放っておいたものだと。。。
都福祉保健局によると、入居者72人の受け入れ先は決まったものの、リハビリの設備がない特別養護老人ホームを割り振られた人もいる。家族からは「代わりの施設には『3か月で出て』と言われた」といった不安も漏れる。また、通所リハビリの登録者109人については、ケアマネジャーが受け皿探しに奔走しているが、全員に代替施設が行き渡る見通しは立っていない。
この一件に巻き込まれた入所・通所利用者にとってみれば、
せっかく築き上げてきた生活環境や人間関係や生活リズムを奪われたわけです。
代替施設が見つかったから、と、それで自治体の責任が果たされたとはいえませんよね。
この件を教訓に、
自治体は施設におけるサービスの質の見直しやチェックに、
もっと真剣に取り組まれることを期待します。
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