要介護認定 見直し議論 盛ん
来年予定の介護保険法の改正に向け、要介護認定の見直し議論が盛んになっている。簡素化の提案があれば、認定そのものの廃止を訴える団体も。以前の二〇〇五年の大幅改定時にはなかった動きだ。(佐橋大)
全国に一万人超の会員がいる「認知症の人と家族の会」は五日、京都市で開いた総会で、要介護認定の廃止を国に提言すると決めた。認定不要論は、大阪市立大の白沢政和教授が昨年提唱。家族の会も取り入れた形だ。
背景には、認定で苦しむ家族の存在がある。身体的に健康な認知症の人では認定が軽く出がちで、保険で受けられるサービスは、必要性の割に少なくなる。
同会の調べでは、会員の約一割が支給限度額を超えてサービスを利用。限度額を超えた部分は全額自己負担になり、経済的な理由から在宅介護をあきらめる人も少なくない。「認定で、在宅介護が阻まれている側面がある」と同会は訴える。
くすぶっていた認定への不満に火を付けたのが、昨年四月の認定基準の変更。厚生労働省がサービス抑制の思惑で制度をいじれば、認定が簡単に引き下げられることが分かった。「本人や家族を振り回す認定は、本当に必要なのか」と高見国生代表理事。約一年かけて議論を重ね、「廃止」の結論に至った。
高見代表理事は「廃止しても支障は出ない」とする。「認定、限度額がなくなると、野放図にサービスを使うという人がいるが、一割の自己負担があり、利用にブレーキが掛かる。現在、平均の利用額が限度額の四割程度に収まっているのは、その証拠。限度額以上に使っている人への保険給付は増えるが、それは審査経費など認定の廃止で浮くお金を回せばいい」
しかし、現実には、無駄なサービスを押しつけるケアマネジャーもいる。この手の無駄遣いには、認定に代わる新たな仕組みの工夫で、対応できると同会は主張する。
新たな仕組みでは、家族らの求めで、本人やケアマネ、事業者、保険者(市区町村の担当者)を集め、保険で提供するサービスの内容や頻度を決める。保険者は、議論に立ち会うことで、無駄遣いへのメスが入れられるという。
要介護認定が介護保険からなくなる?という議論が急に熱を帯びてきました。
確かに、認定にかかる調査費や主治医意見書の発行、審査会など、
要介護認定にはお金がかかります。
決定までのプロセスが当事者には見えにくい部分もあるため、認定の結果に不満を持てば何度でも区分変更をかける方もいらっしゃいます。
要介護認定を廃止したらどうなるのか。
いままで要介護度という関係者であれば比較的共通した物差しがあることで、
情報交換などをおこなうにあたっても、現状を表すひとつの目安となっているのは事実です。
ただ、まったくの第三者と、どれだけ本人の状態を理解しているかについても差のある主治医の意見書によって決定されているだけのもので、
要介護度が本人の状態を表している物差しとして適切でない状況が多いというのも事実です。
さらに、このところの要介護認定の見直しにより、
特に要支援というものの状態像についての認識にもズレが生じているように思います。
要介護度というものがあることによって、
かえって、本人の状態を見えにくくしている側面もあるのです。
要介護認定による給付の枠があることによって、
悪質なケアマネの給付管理・不正にも一定の歯止めがかかるという意見もあるかと思いますが、まったくなくなる気配を見せない不正請求。
そもそも元根本的な解決策を考えていく必要もあるのかもしれませんね。
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