すいません、久しぶりの更新です。これまでもいろんな話題がありましたが、多忙すぎてまったく更新ができませんでした。
介護報酬改定の話題も次々と出ていますので、今後少しずつ解説を加えながら更新していきます。
この記事の目次
無資格の介護職員は6.1%
介護の現場というと、介護福祉士や介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級研修)など、有資格者しかいないんじゃないかと思っている方も多いようですが、実際は無資格の職員もいます。
事業所種別によっては、無資格職員が勤務できないところもあります。例えば訪問介護や定期巡回訪問介護看護などは介護職員初任者研修以上の資格を保有していなければサービス提供できません(総合事業の場合は可能な場合もありますが)。
今回、新型コロナウイルスの影響で、人手を確保できない訪問介護事業所は無資格者が訪問介護サービスを提供しても認められるという特例は出ていますが、あくまでこれは特例です。
単独で行動し、その場で判断が求められる訪問系サービスは介護職員初任者研修(ホームヘルパー2級)以上の資格が必要です。
もちろん、訪問看護は看護師や理学療法士・作業療法士・言語聴覚士、居宅介護支援は介護支援専門員(ケアマネ)に限定されるなど、有資格者でなければ提供できないサービスもたくさんあります。
施設系・通所系サービス等で活躍する無資格介護職員
ただし、特別養護老人ホームや有料老人ホーム・グループホームなどの施設系・入居系サービスや、デイサービスなどの通所系サービスでは無資格者でも勤務し、サービス提供することが可能です。
訪問系では訪問入浴は看護師は必要ですが、オペレーターやケアに関しては無資格者でもサービス提供ができます。
現場で活躍している無資格の介護職員はたくさんいます。
介護労働安定センターの介護労働実態調査によると、介護の現場で働く無資格者は全体の6.1%ということがわかっています。
有資格者だけでなく、無資格の介護職員によって支えられている施設・事業所も多いということがわかります。
無資格の介護職員は増えているの?
無資格の介護職員が増えているのかといえば、実際のところは大きく変わりません。
10年位前から見ても、無資格の介護職員の割合は5%程度で推移しているようです。
介護のスタートアップ資格は、現在介護職員初任者研修です。
かつてのホームヘルパー2級研修と比較すると、カリキュラムも大きく変わりましたが、自治体や法人による資格取得助成が充実しているため、取得コスト自体は安くなっていると思います。条件付きですが、無料で受講できる場合もあります。
それでも無資格の介護職員が減らないというのは、介護の仕事を生涯にわたって続けていきたいと考えている人が少ないということなのかもしれません。
無資格の介護職員には研修を
今回、社会保障審議会・介護給付費分科会で無資格の介護職員には研修を義務付けることが大筋で決定しました。
全ての無資格の介護職員に「認知症介護基礎研修」の受講を義務付ける − 。来年度の介護報酬改定で実施するこのルール変更について、厚生労働省は3年間の経過期間を設ける方針を決めた。
社会保障審議会・介護給付費分科会で2日に説明し、大筋で了承を得た。
各サービスの運営基準を来年4月から見直す。2024年度から完全適用とする。サービスの質の底上げにつなげる狙い。
認知症介護基礎研修のカリキュラムは6時間。認知症の人の理解、対応の基本、ケアの留意点などを学習する内容だ。
厚労省は先月の審議会で、これを全ての無資格の介護職員に受けてもらうルールを作ることを提案。「一定の経過期間を設定する」とアナウンスしていた経緯がある。
今回の会合では、「介護に関わる全ての人の認知症対応力を向上させていく」と改めて説明。新たに入ってくる職員についても、研修を受けるために必要な措置をとることを事業者に義務付けるとした。
厚労省はこのほか、受講者の負担に配慮して研修を全てeラーニング化する意向もあわせて示した。担当者は席上、「現在カリキュラムの見直し作業を進めている。(eラーニングでも)しっかりと意味のある研修になるようにしたい」と述べた。
介護労働安定センターの昨年度の調査結果では、看護師、社会福祉士、介護福祉士、ケアマネジャー、ホームヘルパーといった関係資格を何も持っていない人は、介護職全体の6.1%だと報告されている。
介護のニュースサイト JOINTより
「介護に関わる全ての人の認知症対応力を向上させていく」として、無資格の介護職員は「認知症介護基礎研修」を受講することになるようです。
「認知症介護基礎研修」ってどんな研修?
「認知症介護基礎研修」って、どんな研修なんでしょうか。
介護職員基礎研修っていう資格がありました(2012年に廃止、実務者研修に一本化)。合計学習時間500時間という基礎どころじゃない基礎研修。
基礎研修っていっても、研修時間長いんじゃないの・・・と疑っている人も多いでしょう。
研修時間は、
・・・6時間。
え?それでいいの?
6時間で認知症の何を学ぶのか
6時間の学習内容はどのようなものになるか。
おそらく、介護職員初任者研修の「認知症の理解」の科目が6時間なので、それと同様の内容になるのではないでしょうか。
参考に介護職員初任者研修のカリキュラム表を掲載します。
職務の理解 | 6時間 |
介護における尊厳の保持・自立支援 | 9時間 |
介護の基本 | 6時間 |
介護・福祉サービスの理解と医療の連携 | 9時間 |
介護におけるコミュニケーション技術 | 6時間 |
老化の理解 | 6時間 |
認知症の理解 | 6時間 |
障害の理解 | 3時間 |
こころとからだのしくみと生活支援 | 75時間 |
講義の振り返り | 4時間 |
合計 | 130時間 |
となると、今回創設される「認知症介護基礎研修」を受講した人が、介護職員初任者研修を受講する場合は、「認知症の理解」の科目の受講免除となる可能性がありそうですね。
認知症の方への対応力は学ぶことでしか身につかない。
介護職員が研修を受講する機会を持つことは非常に重要だと思います。
認知症の方への対応方法については、学ばなければ身に付きません。
個人的には、認知症サポーター養成講座の内容は本当によくできていると思っていますし、あのテキストを学習するだけでも、認知症の方への対応はかなり身につくと思います。たった2時間程度の学習で身につくことですから。
認知症の方へ対する声かけや認知症関連疾患の理解ができれば、ストレスマネジメントもできるようになります。
今回、e-ラーニングでの受講も前提としていることが示されたのも大きな一歩だと思います。
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