厚生労働省、布製マスクの配布を決定。在宅サービス利用者にはケアマネが配布?

介護現場にマスクが足りない!

新型コロナウイルスは世界的に爆発的な感染拡大を見せており、世界経済に与える影響も計り知れないものになっています。

過去の記事でも紹介していますので、よろしければご覧ください。

そして、日本でも高齢者を中心に感染者の報告例が毎日報道されています

東洋経済オンラインで国内感染の状況を可視化しているのですが、非常に見やすいですね。

大規模イベントの自粛要請もやや手綱を緩めたような印象ですが、まだまださらなるアウトブレイクが起きる可能性はあると思います。今後も引き続き手洗いなどの感染予防は重要です。

マスクが足りない!

マスク不足は医療・介護の現場でも

感染者数の拡大ととも問題視されているのがマスク不足です。

医療機関や介護施設もその例外ではなく、新型コロナウイルスと直接対峙する可能性の高い医療従事者であってもその身を守るためのマスクが確保されていないのです。

ご存じのように、マスクが入荷されるドラッグストアには長蛇の列、インターネット上の高額転売は規制されたものの商品入荷できずに配送されないという状況が続いています。

自治体が備蓄のマスクを介護・医療関係の事業者宛に配布する例もありますが、決して長期戦に耐えるだけの十分な量ではありません

厚生労働省から布製マスクが配布される

そこで、厚生労働省からこのような発表がありました。

介護現場へのマスク配布、在宅利用者の分はケアマネ事業所に発送 厚労省

新型コロナウイルスの流行を踏まえた介護現場への布製マスクの配布について、厚生労働省は19日、具体的な方法をアナウンスする通知の続報を出した。

訪問系サービスと通所系サービスの利用者の分を、すべて居宅介護支援事業所に送ると説明。「各利用者への配布をお願いします」と協力を求めた。居宅のケアマネジャーらには相応の負担がかかることになる。   介護保険最新情報のVol.789で広く周知している。

厚労省は今回、洗えば何度も繰り返し使用できる布製マスクを用意した。およそ2150万枚の全国への発送を、今週末から4月上旬にかけて本格的に実施する。

介護保険の全サービスの施設・事業所を対象とし(*)、利用者と職員それぞれに1人1枚以上いき渡るようにする計画。日本郵便の配達網を使い、原則として国から施設・事業所へ直接届けるとしている。  

* 有料老人ホームやサ高住など高齢者向け住まいも対象。このほか、障害福祉や子育て支援の現場も幅広く対象となる。

厚労省は19日の新たな通知で、具体的な配布方法を以下のように説明している。

○ 介護職員の分は各施設・事業所へ直接配布する  

○ 訪問系・通所系サービスの利用者の分は、居宅介護支援事業所へ配布する  

○ 訪問系・通所系サービス以外(小多機・看多機を含む)の利用者の分は、各施設・事業所へ直接配布する  

○ 総合事業の利用者の分は、地域包括支援センターへ配布する   個々の必要枚数は、情報公表システムや介護報酬のデータに基づいて算出するという。

厚労省は通知で事業所や包括などに改めて協力を要請。相互の連携によって配布の円滑化に協力して欲しいと呼びかけている。

JOINT KAIGOより

厚生労働省が発表したのは、

  • 国から繰り返し使用できる布製マスクを介護施設や在宅介護サービスの利用者及び職員に配布
  • 施設には直接送付。
  • 在宅サービスの利用者には居宅介護支援事業所(ケアマネ事業所)あてに送付し、ケアマネから配布を協力してもらう
  • 職員・利用者の人数はサービス情報公表のデータなどをもとに推定して送付

というものです。

布製マスクを配るために訪問するケアマネ

ここで納得できないことが。。。

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためには、基礎疾患を抱えている介護保険サービス利用者へのケアマネジャーによる訪問に関しては、不要不急のものであれば自宅へ訪問しなくても「電話やFAXによる状況把握で代替しても構わない」と判断されました

当然ですが、ケアマネジャーによるモニタリングやサービス担当者会議と言われるものもその中に含まれています

https://twitter.com/welconnect/status/1234704554203086853

通所や訪問サービスも感染リスクは高いので利用を控えている方も少なくありません

今までデイサービスを利用したり、ヘルパーによる買い物や調理で対応していた毎日の食事を配食サービスなどに切り替えることで他者との接触機会を減らすようにし感染リスクを減らす方もたくさんいます。

これまで感染拡大防止策を徹底するために、ケアマネのモニタリングのための訪問を不要不急であればとしていたのに、マスクを配るためには訪問しろっていうのはおかしな話じゃないですか

利用者宅へ直接郵送で送るとか方法はないものでしょうか。自治体から介護保険証を送るように利用者宅に送ることだってできるじゃないですか

行政は何の説明もなしにマスクだけ送るって、それはないでしょう

順次配布しますとかって、もし布製マスクを希望する利用者がいたら、いつ持ってくるんだとか、ケアマネ事務所に問い合わせが来るんでしょうね。

要支援の人は地域包括まで取りに来てね・・・

ちなみに、要介護で在宅サービス利用者はケアマネが配布するのですが、要支援の方はどうなるかというと・・・。

介護予防サービス及び介護予防・日常生活支援総合事業(介護予防・生活 支援サービス事業に限る。)の利用者分については、地域包括支援センターに配布していますので、来所された方にお渡しください。 なお、地域包括支援センターとサービス事業所との調整により、サービス 事業者から利用者に配布いただくことも可能です。

介護保険情報Vol.789  高齢者施設・事業所等に対する 布製マスクの具体的な配布方法について

要支援の人は、地域包括支援センターへ来所してもらって、そこで配布しますと。

いや、ちょっと待て。

地域包括支援センターが設置されているのはコミュニティセンターなどの地域の公共施設だったり、特別養護老人ホームなどの高齢者施設などに併設されているところが多いと思うんですよね。

そういった公共施設等って、感染拡大防止のために立ち入り禁止になっている地域もあると思うのですが、そこにマスクを求めて人がくるって、ちょっとやばくないですか

個別配布するコストはかかるんでしょうけれど、感染リスクを減らすためにやってきたことをわざわざ無にしようとしている姿勢がまったく理解できない

ついでに、要支援の人は元気だから地域包括支援センターに受け取りに来るくらいできるだろうなんて考えているんでしょうけれど。

国が考えている要支援のサービス利用者の状態像と、現実の要支援のサービス利用者の状態像がかなり格差があるように思います

要支援の人で歩いて地域包括支援センターまで行ける人、どのくらいいると思います?

そもそも地域包括支援センターの場所を知っている人、どのくらいいると思います?

もっと言うと、予防を委託で居宅介護支援事業所のケアマネジャーが担当している場合、地域包括支援センターってなに?っていう人だって実際少なくないですよ。あ~、最初に契約の書類持ってきた人ね~くらいの認識があればいい方です。

ますます大きな混乱を引き起こしそうな予感しかないですけれど。

記事編集・監修

 

介護福祉ウェブ制作ウェルコネクト

居宅介護支援事業所管理者・地域包括支援センター職員・障碍者施設相談員など相談業務を行う。

現在はキャリアを生かした介護に関するライティングや介護業界に特化したウェブ制作業を行う。