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介護職員による利用者に対する暴行
ここ何回か、利用者による介護職員への暴行などのニュースを続けてお伝えしていましたが、今回は介護職員が利用者に対して暴行を行ったという事件について紹介します。
介護福祉士女性が老健入所中の女性を殴って眼球を破裂させる
介護施設に入所する高齢女性を殴って眼球を破裂させたとして、大阪府警門真署は8日、同府門真市の介護施設「門真老健ひかり」の介護福祉士、荒木真優子(まゆこ)容疑者(43)を傷害の疑いで逮捕した。
逮捕容疑は先月26日午後11時ごろ、入所者の女性(80)の顔を殴り、左目の眼球を破裂させるなどのけがをさせたとしている。
荒木容疑者は「おむつを交換していたら、抵抗されたので腹が立った。拳を出したら左目付近に当たった」などと供述し、故意ではなかったと否認している。
門真署によると、荒木容疑者が「女性が出血している」と申告し、近くにいた看護師が119番。女性は今も入院中で、失明の恐れがあるという。事件の2日後、女性の夫が「施設で虐待を受けた」と門真署に被害を届け出た。施設は「警察に全面的に協力し、誠意を持って家族に対応する」と説明している。
「介護施設で入所者女性に暴行 介護士の女を傷害容疑で逮捕 大阪府警 」毎日新聞
なんと、介護老人保健施設で、介護福祉士の女性が入所中の80歳女性の顔を殴り、眼球を破裂させて逮捕されたというニュースです。
現在も被害女性は入院中で、失明の危険性もあるというほどの大きなけがを負っているということです。
事件の起きた介護老人保健施設について
事件が起きた介護老人保健施設は大阪府門真市の「門真老健ひかり」という施設です。
医療法人柏友会が運営する介護老人保健施設です。
法人では内科・整形外科のクリニックと、在宅サービスでも居宅介護支援と訪問看護・訪問介護の事業所を運営し、サービス付き高齢者向け住宅もグループ内に置いているようです。
youtubeでの紹介動画もあるようですが、タイトルに日付やfinalという言葉が残っているのがちょっと気になりますが(動画を制作側から受け取ってそのままタイトル等編集せずに公開しているんでしょう)。
定員100名の入所と60名と規模の大きいデイケア(通所リハビリテーション)やショートステイを行っています。
「抵抗されたので腹が立った」
逮捕された介護福祉士の供述によれば、おむつ交換をしていた時「抵抗されたので腹が立った」ということです。
介護福祉士だからといって人間だから、腹が立つこともあります。体調やメンタルの状態もありますので、イライラするときもあるでしょうし、それは仕方ないことなのかもしれません。
ただ、眼球が破裂するほどの力で殴るという行為に及ぶのがそもそもおかしいでしょう。
おそらく相当な力が入っていたと思いますし、しかも顔面。
故意ではない、とのことですが、腹が立って顔面を殴った、が果たして過失で通るものでしょうか。
そして、容疑者は自ら殴ったと言わず、「女性が出血している」と看護師に報告しており、あわよくば自らの犯行を隠蔽する可能性もあったのかもしれません。
介護の現場からなぜ暴力がなくならないの
今年になってから、利用者からの暴力についての記事をこのブログで紹介しています。
今回は介護職員が利用者に対して行った暴力による事件です。
先週も、名古屋の有料老人ホームで職員が利用者に対して暴行するというニュースがありました。
愛知県北名古屋市の有料老人ホーム「アグレにじ北名古屋」に入所していた90代男性に暴行したなどとして、西枇杷島署は11日までに、暴行と暴力行為法違反の疑いで、同施設の60代の元看護師と介護職員の女性2人を書類送検した。
書類送検容疑は昨年9月2日、男性をたたいたり、暴言を吐いたりした疑い。
施設によると、2人は男性の傷の手当てをした際に抵抗されたことがきっかけで暴行を加えるようになり、男性に対し「死ね」などと言っていたという。元職員が県警に相談して発覚した。
[老人ホーム職員ら書類送検 90代男性に暴行疑い、愛知] 産経ニュース
非常に残念な事件が多く続いています。
こちらの事件も、介助の際に抵抗されたことがきっかけで暴行を加えるようになったと記載されています
おむつ交換をすること、傷の手当てをすること、日常の介護として行っているそれらの行為が認知症の利用者の目線に立った時、どのように映るのか。
そういったことをイメージする力も、もう少し必要なのではないでしょうか。
介護がただの作業であるならいつかそれはロボットが行うようになること
介護職の役割は何か。
介護を作業として、それだけを求めるのであれば、いつか、遠くない将来に介護はロボットにとって代わられます。
感情がないのだから、怒ることもないし、事故はあるかもしれないけれど暴行を加えることも虐待もありません。
介護職にに求められることはロボットではできない、寄り添うという行為じゃないでしょうか。
人手が足りないことや時間も限られているなどの事情はあるかもしれませんが、作業効率を求めるのではなく、利用者の想いに寄り添うことが許容される介護現場であることが必要なんじゃないでしょうか。
いま、この瞬間におむつ交換を絶対にしなくちゃいけない理由があるのか。
決められた時間だから行う、ではなく、そこで一度立ち止まることも時には必要で、他の人のケアをしてからもう一度来てみるとか、ひょっとしたらおむつ交換ではなくトイレで排泄できるんじゃないかとか。
ロボットにできない介護を目指していくことが介護の価値を高めていくんじゃないでしょうか
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