財務省、介護報酬のマイナス改定を要求 訪問・通所の回数上限や総量規制も
財務省は25日、財政の健全化に向けた方策を協議する「財政制度等審議会」の分科会を開催し、今後の介護保険制度の見直しを俎上に載せた。
給付費の膨張や保険料の上昇を抑制する努力が欠かせないとして、訪問介護と通所介護を中心に踏み込んだ具体策を多く提言。来年度の改定で介護報酬を引き下げるよう迫ったほか、サービスを使える回数に一定の上限を設けたり、居宅サービスにも総量規制をかけられるようにしたりすることも注文した。年末にまとめる安倍内閣への意見書(建議)に盛り込み、実現するよう強く働きかけていく方針だ。
訪問と通所は良好な経営状況となっており、介護サービス全体をみてもおおむね良好な状況にある −− 。厚労省の昨年度の調査による各サービスの利益率(下グラフ)を紹介し、財務省はそう分析してみせた。規模の小さな法人が多くを占めていることから、中小企業の利益率と比べて多寡を判断するのが妥当だと説明。利益率の高いサービスは適正化すべき、と意見した。
加えて、今年度の「処遇改善加算」の拡充が保険料を押し上げることなどを例にあげ、「来年度はマイナス改定が必要」と主張。「質の高いサービスを評価する加算を取った事業所を基準とすべき。そうした加算を取らずに利益率が低いところも含めて全体の経営状況をみると、質の高いサービスを普及させる方向性に逆行しかねない」。そんな認識も示している。
生活援助、ケアプラン検証を
訪問・通所介護には特に厳しい目を向けている。「単価の低いサービスが高い頻度で提供され、結果として費用が増加している」「不必要なサービスが提供されている可能性がある」などと指摘。このうち訪問介護については、
○ 一定の回数を超えて生活援助を行う場合には、地域ケア会議などでケアプランを検証することを条件とする
○ 身体介護も含めて、1日に算定できる報酬の上限を設定する
ことなどを検討すべきとした。通所介護の適正化に向けては、機能訓練をほとんど行っていない事業所の基本報酬を減算すべき、と改めて要求している。
住宅型の有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅にも言及。訪問や通所が過剰に提供されるのを防ぐため、併設・隣接の事業所などが報酬を算定できる回数に上限を設けてはどうかとした。
自治体が居宅サービスの量をコントロールできる仕組みが不十分ではないか −− 。そんな問題も提起した。総量規制の対象に、現行は含まれていない訪問や通所なども新たに加えるべきだという。保険者機能の強化、効率的な体制の構築などにつながるとメリットを説明した。
このほか、施設で暮らす低所得者の食費や居住費を軽減する仕組み(補足給付)を見直したり、市町村の総合事業に移すサービスを増やしたりすることも求めている。
報酬ダウンはもう既定路線ですね。
今回の衆院選挙の結果を受けて、介護報酬カットにも大胆に切り込んでいくことでしょう。
診療報酬も2%ダウンの報道がありますので、介護報酬も覚悟はしておいたほうがいいでしょう。
さらに、財務省から注文が付いたのは訪問介護と通所介護の利用頻度です。
生活援助や通所介護の利用回数に制限を設けることを具体的に提示しています。
訪問介護や通所介護をターゲットにしているという以上に、
住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅で行われる併設事業所による通所・訪問サービスを狙い撃ちしているような印象です。
ただ、これを制度上で回数に利用制限を設けるとしたらどうなるでしょう。
日中家に一人でいることができないので通所を利用している人、
皮膚疾患などがありお風呂に毎日入るために利用している人、
様々な事情はあると思いますが、ただ漫然と通所を利用している人ばかりではありません。
利用制限を回数でバッサリ切ってしまうのか、報酬の減額を行う形になるのか。
で、もしこれで一番困るのはひょっとしたらお泊りデイサービスかもしれません。
夜間は利用者の自費ですが、連泊をしながら日中はデイサービス利用の形で介護報酬が発生するお泊りデイサービス。
このお泊りデイサービスというビジネスモデル自体の存続にもかかわる問題になりそうです。
地域包括ケアシステムを支える要素の一つとして「住まい」という視点を入れ、
サービス付き高齢者向け住宅への住み替えをプッシュしまくっていたのに、
あっという間にハシゴを外そうとする。
一貫性のない介護保険制度改革にいつまで振り回され続けなければいけないのでしょうか。
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