平成29年4月20日、財務省で財政制度分科会が行われました。
その資料が公開されており、次期介護保険法改正・介護報酬改定にむけての具体的な内容が示されています。
介護報酬改定については財務省主導といってもいいほど大きな影響力を持つことから、
その内容に注目が集まりました。
改革の方向性の概要として、
在宅サービスについてこのように記載されています。
○ 機能訓練などの自立支援・重度化防止に向けた質の高いサービス提供がほとんど行われていないような場合には、事業所の規模にかかわらず、基本報酬の減算措置も含めた介護報酬の適正化を図るべき。
○ 大阪府の調査を参考にしつつ、「サービス付き高齢者向け住宅」や「住宅型有料老人ホーム」といった高齢者向けの住まいを中心に、必要以上に在宅サービスの提供がなされていないか、平成30年度介護報酬改定に向けて実態調査を行った上で、給付の適正化に向けた介護報酬上の対応を検討すべき。
(参考)改革工程表
・ 通所介護などその他の給付の適正化について、介護報酬改定の議論の過程で関係審議会等において具体的内容を検討し、平成30年度介護報酬改定で対応
機能訓練加算などを取得していない通所介護に対して、減算措置というかなり強いワードを使っています。
報酬の差別化ではないのです。減算なのです。
「機能訓練をしていないデイサービスは質の高いサービスを提供していない」
と言っているようなものです。
これはダイレクトに通所介護事業所の経営に打撃になることでしょう。
別紙資料でもこのように記載されています。
通所介護については、規模が小さいほど、個別機能訓練加算の取得率が低くなる一方で、サービス提供1回当たりの単位数は高くなる傾向にあり、
規模が小さい事業所に通う利用者にとっては、機能訓練などの質の高いサービスを受ける割合が低いにもかかわらず、高い費用を支払う結果となっている。
つまり、今回の報酬改定で報酬切り下げの最大のターゲットは、機能訓練加算を行っていない小規模(地域密着型)のデイサービスです。
さらに、経営実態についての資料も提示されていますが、ここでも注目。
○ 改定前後における介護サービス事業者の収支状況を見ると、多くの介護サービスで収支差率が低下しているものの、プラスを維持しており、特に、訪問、通所などの在宅サービスの収支差率は比較的高水準にとどまっている。
また、特別養護老人ホームについて、改定前後で「黑字を継続している施設」と「黑字から赤字となった施設」を比較すると、黑字継続施設については、改定後の減収幅が小さく、質の高いサービスに対する加算の取得等に努めたものと推察される。
通所介護の狙い撃ちが始まりました。
マイナス改定で、収支差益が低下しているのに、それでもまだ儲かっているから。
毎回報酬改定のたびにモグラたたきと言われますが、
今回は引っ込んだところをさらにひっぱたくという無慈悲さですね。
通所介護だけに限ったことではありませんが、
質の高いサービスとは何か、
要介護度の改善以外に具体的に示せる指標を持つことが出来ない限り、
介護保険サービス事業者はこれからも財務省に「質の低いサービス」と呼ばれ続けることになるのかもしれません。
最近のコメント