「歩けない」とうそ、介護報酬を不正受給容疑で施設経営者逮捕
「歩けないはずの人が普通に歩いている」。こんな通報で発覚した介護報酬の不正受給。逮捕されたのは、介護施設の実質的経営者でした。
車イスに乗る佐々木憲二容疑者(67)。元暴力団組員で、尾張旭市の介護施設「ひょうたんの湯」の実質的経営者です。佐々木容疑者は、「歩くことができない」とうその申請で「要介護3」の認定を受け、経営する施設を利用したことにして3か月間でおよそ60万円の介護報酬をだまし取った詐欺の疑いが持たれています。
事件は、「介護認定を受けた人が、普通に歩いている」との通報で発覚。愛知県警は、8月に「ひょうたんの湯」を家宅捜索、17日、佐々木容疑者ら4人を逮捕しました。佐々木容疑者は「要介護3は俺が決めた事じゃない」などと容疑を否認。一方、要介護認定し、介護報酬を支払っていた尾張旭市はノーコメントとしています。
「ひょうたんの湯」はこれまでにおよそ580万円の介護報酬を受け取っていて、警察は、暴力団の資金源になっていた可能性もあるとみています。
どうやら見たところ、もともとスーパー銭湯だったところがデイサービスになっているようですね。
容疑者は尾張旭市に要介護認定申請をした後、認定調査を受け要介護3の認定を受け、
そして、実質経営しているデイサービスを利用したとして介護報酬60万円を不正に受け取ったと。
ここまで、当然いくつかの疑問があると思います。
まず、認定調査はどのように受けたのかということです。
保険者によって認定調査をどのように運用していくのかは違いがありますが、
初回の認定調査は市の職員が訪問することが多いと思います。
そこで、「歩けないはず」であることを見極めることが出来なかったのか。
また、認定の申請を行うには主治医の意見書が必要です。
認定調査の一発だけでなく、主治医としてかかわりがあるはずなので、通院時の状況も確認できていたはず。
主治医意見書を書いた医師は暴力団と何らかの関係があったのか定かではありませんが、ある程度の状態は把握できていたはずです。
そしてデイサービスはおそらくそれ以外の部分では営業されていたはずで、それ以外の利用者もいて、
求人情報などもあるのでおそらく介護職員の勤務の実態もあったと思われます。
誰も不正受給をしている実態に気が付かなかったのか。
そして、当然、サービスを利用している以上、ケアマネジャーだっているはずです。
毎月モニタリングをしていて、何も感じなかったのでしょうか。
これだけのチェック機能があるはずなのに、住民からの通報がなければ発覚しなかったというのは
介護保険というシステム自体に問題があるとしか言いようがありません。
「歩けないはずの人が普通に歩いている」
これは、このような悪質な事件だけでなく、虚偽の申告をして不正に介護認定を高く受けるケースは多数あります。
容疑者の言い分も間違いではありません。
要介護3は容疑者が決めたことではないのですから。
当然保険者である尾張旭市や、この要介護認定というシステム自体の課題についても言及していかなければいけないのではないでしょうか。
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