厚生労働省のホームページに第129回社会保障審議会介護給付費分科会の資料が公開されています。
興味深い内容も多く、時間がある方はぜひ結果概要だけでも目を通していただくといいかと思います。
通所リハの機能訓練と通所介護での機能訓練の比較や、介護保険サービスの質の評価など、
今後の改定に影響があると思われる内容などもあります。
特に注目されるのは居宅介護支援事業所及び介護支援専門員の業務等の実態に関する調査研究事業かと思います。
ここで、特定事業所と一人ケアマネ事業所の違いで比較を出しているのが非常に興味深く感じます。
例えば、
在宅でこの一年間見取りを行った事業所、として特定事業所・一人ケアマネ・その他事業所で分けています。
なるほど。特定事業所は看取りを行う件数が多くて、
一人ケアマネ事業所の半数以上は看取りをしていないんだ。
それならば特定事業所はもっと評価しないといけない、みたいな流れにもっていきたいようです。
これ、当然一人ケアマネ事業所と特定事業所で比較すれば特定事業所の方はケアマネ3人以上は必ずいるわけですから、
看取りを行う総数も増えるわけですよ。
利用者の総数が少ない一人ケアマネ事業所は確率的に一年間で看取りをしない場合だって出てくるし、
逆にそれは良質なケアマネジメントの成果なのかもしれない。
一人ケアマネ事業所のうち、対象者比率10%以上看取りを行ったという事業所が8.9%もあるので、
利用者の総数が少ない一人ケアマネ事業所は一年間に看取りをしない年もあれば、非常に高い割合で看取りをしたという事業所もある。
当たり前の結果なのに、あたかも特定事業所の看取りを評価しようというのが見え見え過ぎる。
あと、特定事業所の方が、
その他の事業所に比べて常勤ケアマネが多い(そりゃ常勤の配置人数が要件になっているんだから当然でしょう)、
研修計画を立てている(特定事業所の要件なんだからそれも当然でしょう)、
担当ケアマネジャーの割り当てをきちんとしている(一人ケアマネ事業所は担当を割り当てようにも一人しかケアマネいませんけど)、
という事実を並べて比較するという資料で、こんなものをもとに介護報酬が左右されてしまうというばかばかしさ。
あと、この結果概要には掲載されていませんでしたが、資料にはこんな内容もありました。
利用者1人1月あたり労働投入時間;要介護度別(タイムスタディ調査票)
利用者の1人1月あたりの労働投入時間を要介護度別にみると、要介護度が重い方が労働投入時間が長くなる傾向は見られるものの、必ずしも要介護度と労働投入時間とが比例関係にあるわけではなかった。
ということは、居宅介護支援は介護度によって報酬が決められていたのが、どの介護度でも同じ報酬になる可能性は今後ひょっとしたらありそうですね。
あとは、対利用者の直接業務以外の業務負担(いわゆるペーパーワークの負担)というテーマについても掲載されていますので、
このあたりは何らかの影響が出てくると思われます。
あと、調査の回収率は居宅が54.9%、包括が54.0%。
半数は超えたものの、それでもこの回収率を見ると随分と意識が低いと思うのですが、特に包括。
web調査を行うという回答の収集方法にも問題があったのかもしれませんが、
もう少し介護保険の未来に責任をもって向き合ってほしいと願うばかりです。
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