認知症行方不明者 厚労省が実態調査へ
認知症による徘徊(はいかい)などで行方不明となる人が年間1万人に上っている問題で、厚生労働省は行方不明になった人について、介護の必要度や介護サービスの利用状況など、実態を調べる初めての全国調査を近く始めることを決めました。
認知症やその疑いがあり、徘徊するなどして行方不明になる人が年間1万人に上っている問題では、警察庁が行方不明者の届け出件数などのデータをまとめているだけで、国は詳しい実態を把握できていません。
このため、厚生労働省は、全国の自治体を対象に行方不明者の実態を調べる初めての調査を、近く始めることを決めました。
調査では、ことし3月までの1年間に行方不明になった人について、介護の必要度や介護サービスの利用状況などを調べるほか、保護されたものの身元が分からず、施設などで暮らす人についても報告するよう求めることにしています。また、警察や行政、それに地域が連携して行方不明者を捜す「SOSネットワーク」と呼ばれる取り組みの導入状況についても調べることにしています。
厚生労働省は、ことし秋ごろまでに調査結果をまとめ、実効性のある対策につなげたいとしています。
館林市の老人ホームで生活していた認知症高齢者がNHKでの報道をきっかけに家族と再会できたことで、
国もいよいよ身元不明認知症高齢者の問題に本腰を入れ始めました。
身元不明者は家族がいても、身元が分からない限りは
生活保護で介護や生活にかかる費用を行政が負担することになるわけですから、
その費用負担を考えれば、行政側としても身元不明の高齢者を減らすということは意義のあることに間違いありません。
SOSネットワークや行政放送なども、縦割りの壁は厚く、
自治体をまたいでの対応が大きな課題になります。
SOSネットワークに登録をしていれば、鉄道やバスなどの交通機関にもスムーズに情報が伝達されるのですが、
そうでないと行方不明の放送などにも時間がかかり、
結果として、対象者が行政という網をくぐりぬけてしまった後になってしまいます。
国単位で実態を把握することで、今後広域的な取り組みが広がり、
ひとりでも多くの方が家族と出会えるようになることを期待します。
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